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2026年2月1日日曜日

[IS-REC/ISSUES]『いいたい放題』“食べられない"は、“命の分かれ目?”~超高齢者の胃瘻造設

  超高齢者の胃瘻造設依頼が増加している.ムセや咳き込みで食事が摂れず栄養障害を来した例、食事介助で誤嚥を繰り返し喀痰喀出困難となった例など、その多くは施設利用中の患者さんで施設職員が対処に困り果て紹介となったケースである.一方、在宅療養中の高齢者が自ら嚥下困難で来院するケースはすこぶる少ない.また意を決して来院した場合でも症状が相当進行しており短期の外来対応では困難な場合がほとんどである.生活体力や生命維持に必要十分な栄養を確保するにはたとえ一部の食材を選択して口にできても胃瘻という代替栄養路も併せて必要な場合が多く、入院治療が必要なことを説明する.しかし多くの患者は事の重大さに関わらず即座の対応を拒否し結局、誤嚥性肺炎を繰り返して急性期病院に入院する事となる.

●嚥下障害入院の現状

 摂食嚥下障害を主病名の一つとして当院に入院した患者さんの退院時予後を検討した.2022/10/01~2023/10/31までの13カ月間、該当する入院患者60名.嚥下障害・栄養障害への主たる対応は、経鼻胃管13、嚥下困難食による対応11、維持的静脈栄養4、胃瘻造設9、対症療法(看取り・早期死亡)23である.嚥下障害・栄養障害で積極的対応が出来なければその多くが死に至る結果であった.また継続入院例を除く入院期間は2~156日(中央値51日)で治療法によらず入院が長期化する傾向であった.胃瘻造設9例でみると栄養管理の問題が解決しても夜間喀痰吸引の必要などで施設再入所が困難となり退院が決まらない場合が多い.

●胃瘻造設が生命予後・QOLを維持改善した例

(1)ケースKS(PEG当時78歳・女性)

 一人暮らしで以前から誤嚥による肺炎を繰り返し、肺膿瘍を合併した.由利組合総合病院で胃瘻造設を含む治療を受け、その後の嚥下を含む訓練を希望して当院入院となる.嚥下評価の結果、食品の適切な種類とその形態で経口摂取可能と判断した.補水と内服のみ胃瘻を利用し嚥下訓練後、施設入所となった.その後、経口摂取継続と補水・服薬のみ胃瘻の方針は変わらず、約10年後の現在も家族に連れられて定期的胃瘻ボタン交換目的に当院外来を受診している.

(2)ケースTS(PEG時74歳・女性)

 パーキンソン病でくも膜下出血を併発した.経口摂取困難で胃瘻造設となり、治療継続目的に紹介された.嚥下評価の結果、補水と内服薬のみ胃瘻から投与となった.維持的訓練を継続し歩行器歩行可能で、日中は車椅子に座りデイルームで趣味の読書やスケッチをしていた.その後パーキンソン病の進行で寡動・振戦が悪化し、3年目に鬼籍に入った.

(3)ケースTA(PEG時85歳・女性)

 アルツハイマー型認知症で陽性症状が強く菅原病院入院中であった.転倒骨折して寝たきりとなり当院へ転院となった.簡単な意思疎通可能なほかは、食事を含め介護抵抗が激しかった.家族の希望も強く胃瘻造設による強制栄養となった。家族とのやりとりや手を握り視線を合わせたスタッフとの対話は意外に大人しく対応し、結局老健施設入所退院となった.その後、家族に連れられ定期的に胃瘻ボタン交換に外来を受診していたが、約6年目の本年91歳で死亡した.

●終末期医療ではない胃瘻造設

 “食べる・呑む”機能=摂食嚥下機能も加齢に伴って徐々に低下する.いわゆる口まわりの衰えであるオーラルフレイルの時期から予防が大切であるが、脳卒中や神経筋疾患、認知症でない限り、相当高齢となるまで摂食嚥下機能は保たれる.したがってひとたび“食べる・呑む”機能が障害されると、終末期としてその積極的対応を放棄する場合が多いように思われる.胃瘻造設は口から食べることを排除するものではなく、食種や食形態を選んで継続も可能である.本人や家族が望むのであれば、生命予後・QOLを維持改善する手段の一つとして胃瘻を検討して良いのではないだろうか.

※当該記事は2026年1月、由利本荘医師会報NO.616『新春特集号』に掲載した

2025年8月13日水曜日

[IS-REC/ISSUES]超高齢者胃瘻造設で学んだこと

 ●摂食嚥下困難・栄養障害・誤嚥性肺炎

 厚労省人口動態統計(2023年)の主な死因構成割合をみると悪性新生物・心疾患・老衰がその半数を占め、次いで脳血管疾患・肺炎・誤嚥性肺炎と続いている.いわゆる市中肺炎は肺炎双球菌ワクチンの普及で減少傾向だろう.実臨床からは肺炎とされた中に相当数の誤嚥性肺炎が紛れ込んでいると思われる.摂食嚥下困難は加齢自体で生じるが、背景にある脳動脈硬化や多発ラクナ梗塞・認知症など全般性脳機能低下に伴ってしばしばみられる事は周知の事実である.また摂食嚥下困難で徐々に食が細くなり、食事のむせ込みが苦しく食欲自体も低下して、枯れるように最後を迎えることも多いだろう.死因として“老衰”が増加しているのはそういった事情を反映していると思われる.他方、食欲が保たれるのにむせで十分食べられず、羸痩が目立つようになったり、介助で無理に一定量食べさせようとして誤嚥性肺炎を繰り返すと、本人やその周辺から何らかの対処が求められるようになる.代替栄養としての胃瘻造設(PEG)は内視鏡で比較的簡単に出来ることから当初、嚥下評価や嚥下訓練なしに過剰に行われた時期があった.現在は嚥下評価と嚥下訓練が可能な施設でのみ行われ、その安全性、またPEGが即・経口摂取不可ではないという認識が普及して超高齢者でもPEGが選択されるようになってきている.PEGは誤嚥性肺炎や栄養障害を減らしてQOLの高い生命予後改善に寄与している.

●由利本荘医師会病院でのPEG現況

 
 過去5年間に42例でPEGを行った.その紹介元(表)は総合病院16、施設(または嘱託医)20、当院外来(神経内科・リハ科)5、耳鼻科1であった.原則として、入院時に造設について家族の意向を十分確認し、造設前に嚥下評価(嚥下内視鏡VE)を行ない、PEG後も食事内容により気晴らし的経口摂取が可能かどうかを検討した.施設から入院の場合、評価から造設、胃瘻ボタン交換まで1カ月目処の入院で実施した.内視鏡による造設で、造設中も、その後の嚥下訓練でも特段のトラブルはないが、認知症患者では、嚥下訓練に応じてもゼリー摂取など直接訓練を拒否する例があり、PEG後に経口摂取のできない例も多かった.

●超高齢者の胃瘻造設pitfall

 最近、90歳前後以上の超高齢PEG患者が増加している.過去5年間でも42例中11例26%が90歳以上であった.そして超高齢者PEGで意外な伏兵に気づかされることとなった.典型例は嚥下障害で胃瘻造設希望入院、術前の嚥下評価で咽頭期嚥下障害が比較的軽く、食形態を選べは多少の経口摂取が十分可能なケースである.紹介元情報では経口摂取で頻繁に誤嚥性肺炎を繰り返していた.このようなケースで多少の気晴らし的経口摂取も可能と造設後退院時コメントに付記して施設に戻ったところ、トラブルが発生した.胃瘻栄養や気晴らし的経口摂取で再び嘔吐や誤嚥性肺炎を起こし、施設では対処困難となって舞い戻ってきたのだ.そんな超高齢者の問題ケースを続いて2例経験した.

●脊柱変形と上腸管膜動脈による十二指腸水平部狭窄(いわゆる、“上腸管膜動脈症候群”)

 


 施設の現状から経管栄養が朝夕1日2回注入で維持されている場合が多い.造設直後、当院では1日3回で胃瘻栄養を行うため、退院まで栄養注入後の嘔吐や逆流性誤嚥のトラブルはなく、このようなトラブルを予期していなかった.最近経験した1例(91歳男性)では脊椎変形と四肢屈曲拘縮があり、腹部が常時圧迫気味であり、十二指腸球部以遠の機能的通過障害に気づいた.幸いこのケースでは注入量減量で辛うじてその後のトラブルは消失した.2例目(93歳女性)は退院先施設で注入量調整など再三試みられたが、一定量一定回数注入で嘔吐が繰り返され、再紹介となった.本例は上部腰椎の圧迫骨折の既往で十二指腸水平部の機能的狭窄が強く、腹部CTで器質的イレウスを認めなかったが、胃瘻から注入したガストログラフィンを時間的に追いかけると、数時間経過しても胃内に造影剤が多く滞留していることがわかった(図).本例は現在、中心静脈栄養と少量の気晴らし的経口摂取で経過をみているが、本人が強く希望する経口摂取を続ける限り、食塊の胃内蓄積と嘔吐は避けられないようである.

●超高齢者経口摂取困難は咽頭期嚥下機能低下のみにあらず


 


 パーキンソン病その他の神経難病は別として、PEGはいよいよ超高齢者でも増加している.今回、あまり間をおかずに経験した超高齢者2例のいわゆる、“上腸管膜動脈症候群”は経口摂取困難・栄養障害の原因が必ずしも咽頭期嚥下の問題のみに帰せられないこと示しており、良い教訓となった次第である.








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(表)由利本荘医師会病院・リハビリテーション科でのPEG実施例内訳(2021~2025)

(図)いわゆる、“上腸管膜動脈症候群”2例目の腹部Xp所見.ガストログラフィン100ccを胃瘻からゆっくり注入し、数時間後に撮影.胃内に未だ多量の造影剤が滞留している.

※本稿は2025年8月、秋田医報NO.1639号記事『銷夏随想』に掲載した



2025年2月28日金曜日

[IS-REC/ISSUES]~看護学校で教えて~

○看護学校で教える

 リハビリ科を唯一標榜して臨床する医者が少ないせいなのだろう、医師会看護学校で「リハビリテーション看護」(以下、「リハビリ看護」)を教える役回りが巡ってきてしまった。リハビリ臨床の中身は、私自身がリハビリ医者になった頃、ちょうど理学診療科の名称がなくなりリハビリテーション科標榜が認められるようになった30数年前と比較するとずいぶん様変わりしてしまった。当時は中村隆一教授の『入門リハビリテーション医学』(医歯薬出版)、や上田 敏先生の『目でみるリハビリテーション医学』(東大出版会)が私のバイブルであった。これらの教科書に書かれた機能回復が目標の臨床医学は無論昨今でもリハビリ臨床の根幹である。しかし今のリハビリ現場で求められるところは大きく変貌してしまっている。

○「リハビリ看護」教育で期待されるもの

 私の担当する「リハビリ看護」には、346頁の大部な教科書(「系統看護学講座別巻『リハビリテーション看護』」医学書院)があって、これが学生には、タブレットPCに丸ごとインストールされている。相当以前にPTとOT学生対象にリハビリ医学の講義をした経験はあるが、看護と名のつく教育に携わるのは初めて。そこでこの教科書を読み、これを自分なりに再消化するため『目でみるリハ・・』にも再度目を通した(中村著『入門リハ・・』は紛失して参照不可であった)。教科書を読み込むのは大変だったが、私の考えるリハビリ臨床に共通する点も多く結構楽しく最後まで読み通すことが出来た。教科書にはリハビリ看護の対象、法制度、ステージ別看護、基盤となる考え方、対象疾患とその機能障害、これからのリハビリ看護、が項目順でならび、疾患と機能障害ではアセスメント手段としてWHOの国際生活機能分類(ICF)の考え方が根本に据えられている。ここでいうアセスメントという言葉はこれまで臨床医学ではあまり用いられてこなかった。疾患や障害の診断のみならず、対象患者が持つICFでいう個人因子・環境因子を含めて評価する意味合いがアセスメントに込められている。そして教科書に記載され、教育目標として強調される点は、医師を含む関連職種との協業・チームアプローチで対象を捉えること、特に看護師は対象患者とその家族に最も接する機会の多い職種として他職種と患者・家族との仲立ちをする役割、患者ニーズを捉えてチームに問題提起する役割を育てようとしている。

○リハビリ科として日常心がける患者ニーズに答える臨床

 リハビリ臨床はまさにチーム医療であり、医者一人がいてもどうにもならない。各専門職種がその持てる力を最大限発揮できるようにチームをまとめていく、それがリハビリ医者の仕事である。その仕事のバックボーンは、障害医学の診断技法と治療法を身につけ、「リハビリ看護」教科書に書かれたアセスメントが適切に出来ることである。具体的には実臨床で最も多い超高齢患者の抱える問題、すなわち疾病・障害発生以前から存在する栄養障害やフレイル・ロコモ・サルコペニアの問題、認知機能低下の問題、心不全や呼吸器疾患、生活習慣病などによる疾患や障害重複の問題など、さまざまな問題を整理し対処すること、またその生活環境(ケア体制を考慮した退院先)にも配慮してゴールを設定することである。これは患者の欲する心身や生活ニーズを念頭に、そのQOL向上をめざす臨床である。

○「リハビリ看護」で教えたこと

 「リハビリ看護」と現在のリハビリ臨床には共通点の多い事がわかった。当然であるが「リハビリ看護」教科書の主体(主語)は看護師であり、チーム医療の中でも看護師のリードが強調されている。また疾患や障害の評価も本来ほかの専門職種に委ねるべきものも看護師の評価手段として記載されている。そのあたりは誤解がないように、チームでは医師中心のラインが大切なこと(リハ医学の教科書では、“ラインとスタッフィング”として強調される)、評価はチームとしてその結果を共有して、対処を考えることが大切なことを教えた。

○これからの患者ニーズに答える病院の仕事は“ケアミックス型地域包括チーム医療”

 人口減少が進み、医療の規模縮小と集約化が喫緊の課題である。医療に従事するスタッフ自体の高齢化や看護師を含むなり手の不足も問題である。今後の地域包括ケア体制の中で病院の役割は、“ケアミックス型地域包括チーム医療”であることに異論はないだろう。その一員として期待される看護師の継続的確保も重要である。国試合格率100%の医師会看護学校を存続させるためにも優秀な学生を輩出し続けられるように微力ながら応援していきたいと考えている。

(本稿は2025年3月1日、由利本荘医師会報NO.609の連載記事『いいたい放題』に掲載した)


2025年1月10日金曜日

[IS-REC/ISSUES]『未就学児対応の外来ST』~発達障害~

  外来で扱う未就学児のうち、機能性構音障害は、5歳児健診で指摘され就学までの一定期間の指導で改善・治癒する場合が多いと述べた。これに対して言語発達遅滞・自閉スペクトラム症(ASD)などと診断される発達障害のケースは、訓練期間が長く、完全な治癒をめざすものではなく、社会生活・学校生活を送る上での折り合いを付けることに主眼をおいた指導をする。前回は当院において未就学児の認定ST(言語発達障害領域)による外来診療活動を外観した。今回は発達障害の事例を紹介し、それらを医学モデル(発達神経学の裏付け)と社会モデルの立場から振り返り、特に後者に連動する「ニューロダイバーシティー」の考え方に触れる。

●事例1:4歳男児. 診断「言語発達遅滞」

 言葉の遅れを主訴に市内小児科から紹介された。言語面の初回評価では、2語連鎖の受容、3語連鎖の一部表出が可能。動作性課題で、図形弁別10種、積み木構成、縦横の描線が可能。観察では、単語レベルの表出が多く、会話はオウム返しとなる。行動面に衝動性なく着席動作が可能。視線注視が可能で他者への関心もある。2語文レベルの表出・理解の向上を目標に課題を反復した。その結果、5歳9カ月時評価では、身近な関心事に文章レベルの自発話が増え、会話でのオウム返しは消失した。しかし話題が変わり関心事から逸れると会話は困難で、自信なく無言で通す事が依然みられた。一方で言葉を介さないコミュニケーションで他者と関わる事が増えた。

●事例2:2歳3カ月男児. 診断「言語発達遅滞」

   有意味語表出なく市保健センターを介し紹介された。受診時、喃語含む表出はまったく訊かれず。簡単な口頭指示理解も困難で、事物の操作のみ対応する。手元の図形弁別や積み木が可能。線や円の描出はST指示で困難だが、家で母親の指示で描けることがある。訓練開始当初の評価では自発的表出が身振りを含めてなく、要求時のみ大人の手を使う“クレーン現象”で行った。視線を合わせた会話は困難。行動面の衝動性を認めないが、着席などは促しに大きく抵抗する。コミュニケーション面では、待っていると視線を合わせるが不定で顔を近づけ声かけすると無意味声をあげて相手の顔を叩こうとする。遊びも一人で行う。その後の訓練は他者との関わりを楽しく行うように誘導する課題を設定した。時間を要したが6歳6カ月で時点では、文章レベルの自発話が可能となり、会話が成立し、行動面で時間中継続して学習でき、他者と楽しく交わる事が可能となって目標達成・訓練終了となった。

●事例3:3歳女児.  診断「自閉スペクトラム症」

  行動面・コミュニケーション面での評価・訓練継続のため小児療育センターから紹介された。受診時、有意味語の表出なく、口頭指示理解不能。簡単な物品操作可能。図形の弁別や積み木重ねが可能。描線は誘導や模倣でも困難。初回訓練時、表出は単音のみで喃語や身振りでの表出もない。呼びかけに応答せず会話できない。行動面で動きが多く同席の母親に抱きつき、要求が通らないと床に寝ころがり抵抗し、着席は困難。コミュニケーションで視線を合わせず、遊びは一人で部屋の隅から隅を走り回り、玩具を手にせず他者への関わりは拒否的である。その後の訓練方針は他者の存在を理解し、関わる事の楽しさを主眼に訓練を継続した。訓練開始9カ月目には明瞭な有意味語を認めないが、それらしい発語や状況に応じた身振りが視線を合わせて可能となった。会話継続は困難なままで改善なし。一方、着席動作ができるようになり、意志に沿わない事で床に転がる事はなくなった。

●症状・障害はどうとらえられているか?

 症状・障害を診断する基礎となるICD-10、 DSM-IV分類では、心理的発達障害と行動・情緒の発達障害に大きく二分されている。日常、他とのコミュニケーション障害は、心理的発達障害に含まれ、構音器官によらない言葉の表出・理解、言葉を繰る能力の障害である。また読字・書字・算数の学習障害や運動機能の発達障害(発達性協調運動症、DCD)が知られている。さらに自閉症(ASD)などを含む広汎性発達障害が同じグループに入る。後者の行動および情緒の障害には、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、選択性緘黙症(場面緘黙症)などが記載されている。

●発達障害の神経基盤*

 神経ネットワーク発達過程でのシナプス“刈り込み”遅延や未成熟が原因である。脳の正常発達には内部の神経回路ネットワークの発達が必要で、その発達を終えるのに20年程度要するとされる。脳の働きが特化する過程は、個人差と生育環境の影響があり、心理的発達障害はこのネットワークの異常で説明され、中枢性統合の障害(「木を見て森をみない」)や感覚過敏や鈍麻・共感覚などの日常生活に影響する症状を生じる。したがってその正常化には時間と教育上の様々な配慮が必要となってくる。行動・情緒の発達障害の代表であるADHDは、脳全体の時間リズムの切り換え不全の結果と考えられている。

●コミュニケーションに関する発達障害とニューロダイバーシティー**

 発達の遅れ(≒神経ネットワーク発達の遅れ)によるコミュニケーションの障害を、“能力の欠如”として捉えるか、個人の特性や多様性と捉えるかで治療者の関わり方が決まってくる。事例1~3では、受診・訓練開始時期、障害の重症度はさまざまで、再評価や終了時に“普通や正常”に届いていない点もある。しかし訓練場面では遅れを要素分解しステップバイステップに指導し、時間を要しても場を重ねる毎に外来担当STと患児のコミュニケーションは改善している。患児の示す特性の周囲理解も進めばインクルーシブな就学も可能となる。医療の基本が患者の自然治癒力を促すものであるように、外来ST場面で対応する発達障害の基本も障害治療というより患児の特性や多様性を理解尊重した「ニューロダイバーシティー」の視点からその特性を活かした学習を促し援助してゆく取り組みと考えられる。

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*:Newton2024年11月号「発達障害の脳科学」

**:ニューロダイバーシティーの推進について(経済産業省)


(本稿は2025年1月、秋田医報NO.1632「新春随想」に掲載した)




2024年8月18日日曜日

[IS-REC/ISSUES]~リハビリと自動車運転評価~

 ●高齢者の自動車運転

 自動車運転免許更新時に75歳以上高齢者の認知症検査が義務づけられ7年が経過した。検査の結果、免許更新ができなかったり自主返納するケースも増えてきている。運転操作ミスなどで死亡を含む大事故が跡を絶たないが、車の構造上の進歩もあり、いずれAIによる自動運転でこういった問題も解決するだろう。

●リハビリ入院患者さんの自動車運転

 脳卒中などでリハビリを受け、基本動作や日常生活活動が自立に近いと、年齢に関わりなく日常生活に欠かせない手段として自動車運転を希望する患者は多い。現状では高齢者に限らず、脳損傷により多少とも身体や認知行動に影響を受けると発症前同様に運転が可能かどうかを医学的立場から評価する必要が生じてくる。特に高齢患者では加齢や元々の骨関節疾患に伴う動作全般の障害があり、自動車運転を続けるには様々なハードルが横たわっている。リハビリ入院中に身体や認知機能の障害は日常生活上の能力として繰り返し評価される。自動車運転はそれと共通した能力に加え、さらに脳の統合的能力が要求される。脳の統合的機能とは大脳連合野機能としての高次脳機能、そのうち認知と運動を結び行動の指令的役割を果たす前頭連合野機能である。

●自動車運転に必要なスキルとメンタルの評価

 必要検査として自動車運転の身体的スキルの評価は理解しやすいだろう。患者は障害発生まで日常的に運転していた場合が大半であるから五感を含む新たな障害がなければ両手両足を使った運転操作に支障ないはずである。手足の麻痺が残った場合には車への乗降、ハンドルやブレーキ、クラッチ操作などで支障があり、これらを解決するか補助する車の改造が必要である。予め対麻痺用や片麻痺麻痺用に改造され、さらに本人が使用する車椅子積載を片手で簡単にできる構造の既製車も売られている。障害と車の構造的問題が解決しても次に操縦上の問題として、反応時間が上ってくる。ブレーキは一定時間内に踏み替えと踏み込む操作が要求される(通常は0.7秒程度)。次いで注意力。注意にはさまざまな側面があり、視覚的注意・配分的注意などが評価される。注意は、高次脳のうち前頭(連合野)機能と関わり、机上検査として、Stroopテストやかなひろいテスト、TMT(A&B)などが行われる。自動車運転評価の多くは、後2者で評価される。TMT(A&B)は、注意の持続と選択を視覚的探索、視覚と手の運動協調の面から評価する。テストAはランダムな25個の数字を線で順に結ぶ。テストBでは数字と仮名を交互に数の昇順、五十音順で結んでゆく。いずれも完成までの時間、誤反応の有無を評価する。図はその実際例である。本例のテストBでは完成に要した時間も誤反応数も多く注意力の低下があると判断される。

TMT(A&B)評価結果の例

自動車模擬運転


●経験例から

 相当以前の話だが前交通動脈瘤破裂くも膜下出血の若い患者でメンタルを含む脳機能障害の回復良く、てんかんのエピソードもない例を経験した。特に本人や家族から自動車運転の是非について相談なく、私自身も指導・アドバイスの必要性を失念していた。自宅退院数カ月後、自動車運転中の自損事故で死亡したことを新聞で知り、呆然とした。現在はリハビリ医療機関と運転免許センターの密な連携があり、このような痛ましい事例はないと確信する。他方、秋田県のような広域で交通不便な環境で生活するには自家用車は生活必需品であり、特に自営業に戻る場合には仕事上も車運転が是非とも必要である。したがって退院時には運転希望の有無、運転可否について必ず確認・評価・指導する必要がある。

○自験例1(KT65歳男性):自営業。仕事上、秋田と実家のある由利本荘を頻繁に往復する必要があり、自家用運転を希望された。右内頚動脈血栓性閉塞で急性期再開通療法が成功した。しかし右半球前方域のまだら梗塞が発生したため、軽度左片麻痺と前頭葉機能障害が残りリハビリを行った。入院中に麻痺はほぼ消失した。記憶検査は正常だが、易怒的で判断力・注意力に難があり、大仙市協和の県立リハセンで自動車模擬運転評価を行った。模擬運転では状況に応じた運転が可能であったが、机上検査で全般的注意力の低下、瞬時視や移動視で左視野に見落としがあり、結果は運転不可とされた。しかしその半年後の再検査では合格となり、保留中の運転免許更新と自家用運転が可能となった。

○自験例2(SK78歳男性):10数年来の右脳血栓で左片麻痺を後遺する。廃棄物処理業自営で自家用運転も普通にこなしていた。しかしここ数カ月前から物忘れがあり、また軽微な自損事故が目立つようになった。MRI画像のフォローアップで左放線冠に新たなラクナ梗塞を発見した。自覚的に障害が悪化した意識はなく、仕事上も自家用運転が必要なため、家族や主治医の免許返上のアドバイスは受け入れ難いようであった。リハセンで自動車模擬運転評価を行った。その結果、模擬運転や机上検査で失点が目立ち、この検査結果から本人もようやく免許返上に応じてくれた。

●高齢者・障害者など移動手段弱者の問題

 障害者に対する運賃割引精度に始まり、2000年の交通バリアフリー法で公共交通機関利用時の物理的障害の一部は解決した。しかし過疎化が進んで生活に必要な公共交通手段自体が乏しくなった。高齢者や障害者はますます遠くへの移動が困難となってきている。障害の程度や有無に関わらず誰もが自由に移動できる手段が必要である。しかし目下のところ、コストに見合う有効な解決策は見当たらない。時間がかかっても一度外出したらワンストップで用を足せる町づくり、コンパクトシティー化の環境整備が必要である。また生活や仕事にどうしても車が必要な場合には、もはや夢ではない段階まで技術が進んできたAIによる危険回避・自動運転可能な構造の自家用車普及が待たれている。

(本稿は2024年8月、由利本荘医師会報NO.602「いいたい放題」に掲載した)






2024年8月17日土曜日

[IS-REC/ISSUES]未就学児対応の外来ST』~これまでの診療活動~

 ●未就学児童のコミュニケーション障害

 現職場に勤務以来、リハ医として児童のコミュニケーション障害を診るようになった。数年前からいくつか関連する書籍を漁り、その中で自分に一番役立ったのが平岩幹夫先生の教科書であった。この書籍については自身のブログ読書録で以前に紹介した(脚注)。さて当院リハ科には県内唯一の認定言語聴覚士(言語発達障害領域)の資格を持つMさんが勤務しており、彼女を頼ってたくさんのケースが紹介されてくる。今回そのようなケースで、オーダリングシステム稼働後の330例を分析したのでその結果の一部を紹介したい。

●紹介元・紹介時年齢・診断病型(図1~3)

 対象330例の紹介元をみると(図1)、Mさん自身も一部関わる由利本荘市とにかほ市の相談健診の場で該当する児がピックアップされてくることが最も多い(177名・54%)。次いで秋田県立医療療育センター小児科からの紹介84名(25%)、市内などの小児科から紹介43名(13%)、そのほかに巡回相談や就学前健診を機に紹介される場合もある。紹介時の年齢をみると(図2)、1歳6カ月から就学直前の6歳11カ月に分布し、5歳児が最も多い。診断病型(図3)は外来STを行う診療報酬との兼ね合いもあり、必ずしも厳密ではない。機能性構音障害が最も多く、192名・58%、言語発達遅滞110名・34%、自閉症・自閉スペクトラム症(ASD)23名・7%、その他5名・2%である。
図1. 紹介元

図2.当院初診時の年齢分布

図3.病型一覧


●病型ごとの特徴と訓練終了時評価(表)

 機能性構音障害は生後、正しい発音が身についていないための構音障害で、口蓋裂など口腔の器質的異常を伴わない場合、適切な指導と訓練で治癒に至るケースが大半である。また器質的異常があっても適切な治療を受けた後の予後は同等である。機能性構音障害192名中164名・85%が治癒、就学前指導としての目標達成が13名・7%であった。言語発達遅滞は県立医療療育センターで診断されたものが多く、該当110名の訓練期間は機能性構音障害より平均1年長く、終了時評価の治癒と目標達成合わせた数は65名・60%であった。ASDもそのタイプや障害要素も様々だが、該当23名の平均訓練期間は言語発達遅滞より長く平均1年10カ月、終了時評価で就学に対する目標達成は14名・61%であった。
表:病型区分と訓練予後

●機能性構音障害

 ある音の発音が正しくできない状態があると、単語レベルから意図した内容が伝わらず家庭や保育園でのコミュニケーシがうまくゆかず何らかの対応が必要となる。そして3歳児や5歳児健診で指摘され小児科医院などに相談が寄せられる。これらは生後、正しい発音が未獲得の構音障害で、機能性構音障害と診断され、“ハビリテーション”(“リハビリ”ではない)が行われ当院外来STでも最も多い。誤りのタイプには子音の省略(sa,ta,ka→a)・子音の置換(ka,sa,si→ta.ta,chi)が多く、音の歪みや付加などもある。これらは訓練開始前後に行う知能を含めたさまざまな検査で予後を図りながら訓練プランが立てられる。誤りのタイプに沿ったプログラムはあるが、児童の発達や障害の程度に合わせて個別的訓練メニューが決まってゆく。訓練予後は最も良い病型である。

●言語発達遅滞とASD

 2022年の文部科学省調査では通常学級で「発達のでこぼこ」のある子が約8.8%(小学生のみで10.4%)を占めるという。病気ではなく、その子が折り合いを付けていく「特性」((京都教育大教授・小谷裕実)と考える。機能性構音障害は治癒に至るケースが多い。一方、言語発達のでこぼこでは言葉自体の発達が遅れ、緘黙状態であったり表出があっても単語レベルで幼児語に留まっていたりすることがある。相手の言葉の聴理解も遅れるている事が多い。訓練開始に合わせた観察や評価で言葉以外も含めた発達のでこぼこを見つけて個別プログラムを立てる。言葉の表出・理解、書き取り、事物操作、などを遊びの要素を交えながら進める。時間を要するが就学前に支援目標に半数以上が達している。さて、自閉症・自閉スペクトラム症(ASD)の診断例が増え、当院外来STへの依頼も増加している。言葉が出にくい、落ち着きなく動き回る、視線を合わせられない、他の子供と遊べない、等の言葉以外の症状も目立つのがその典型例である。ASDは外来STでの包括的支援のみで困難だが、担当STはその子の特徴や発達の度合いを総合的にみて対応を検討する。言葉が出せなくても人と関わる力をつけると意欲が出て生活力がつき課題のおおまかな改善が図られて指導目標達成に至る事が多い。無理に話させるとかえって失敗するので言葉によるコミュニケーションにこだわらないように親や学校にアドバイスする。比較的短期間で外来STが終了する場合があるのはこのためである。

●地域完結型医療として

 総合病院より専門病院、一病院完結型から地域完結型病院へと舵が切られている。リハビリの中でも小児に十分対応できる施設は限られており、特に精神・身体面、言語コミュニケーションに関わる小児発達障害を扱える施設は秋田県に限らず非常に数少ない現状である。当院では専門性高い分野の資格と知識・経験を持つSTが常駐する。当院リハ科外来で小児コミュニケーション障害も取り扱い可能であることを是非知っていただきたい次第である。

---------(脚注)-----------
https://akitanoichirosayama.blogspot.com/2018/04/is-recbook.html

(本稿は2024年8月、秋田医報NO.1627「銷夏随想」に掲載した)




2024年1月7日日曜日

IS-REC/ISSUES]嚥下障害と胃瘻造設

●当地域と当院の現状

  秋田県の高齢化と人口減少が進んでいる。最近、秋田市の人口総数が自然減で30万を割った事が報じられた。由利本荘地域では、2021年~2023年の2年間で由利本荘市7.5→7.18万人、にかほ市2.5→2.27万人と5000人以上の自然減がみられ、また超高齢化も進んでいる。要介護者や要介護者に占める認知症高齢者も多く、由利本荘市の統計では、2022年12現在で要介護認定5695人、集計時期は多少ずれるが、2023年7月までの要介護者認知症判定3528人で6割程度の要介護者が認知機能低下を合併している。この要介護認定に前後してリハビリを含む入院治療が当院に期待されている。入院目的はさまざまだが、急性疾患や外傷・骨折などで寝たきり、在宅生活が困難となって、その後の社会生活の道筋をつけること、入院治療・リハビリに多少なりとも介護やケアの軽減を期待されたものである。他方、全身状態が不良か、若しくは老衰状態で看取り目的の入院となるケースも半数以上を占めている。一月当たりでみると、死亡を含む退院患者が入院を上回る出超の月も多い。看取り以外の入院患者では紹介もとからの治療継続とともに、寝たきりによる廃用とその予防を目的に身体リハビリが行われる。また嚥下機能低下による栄養失調や誤嚥性肺炎治療後の栄養改善、嚥下評価・リハビリ目的の入院も多くなっている。

●嚥下障害入院の現状

 2022年10月から2023年10月末までの13カ月間に、嚥下障害・嚥下困難(ICD10でR13)の診断で入院対応した延べ総数は、入院総数465名中、67名(14.4%)であった。うち当院併設の介護医療院入所を含む入院ないし療養中は19名。現時点での転帰は死亡22名(33%)、経鼻胃管17名(25%)、嚥下調整食による経口摂取回復15名(22%)、胃瘻造設(PEG)9名(13%)、静脈栄養4名(6%)であった。嚥下障害患者は原則、嚥下評価として嚥下内視鏡(VE)、可能であれば嚥下造影(VF)を行うが主治医の判断で嚥下評価う行わない場合もある。胃瘻造設を行った例は全例、造設前にVEを行い、PEG後の栄養改善で車椅子座位がとれるようになったケースでは、VFを実施して気晴らし的となるが安全に経口摂取可能な食材・食種や食形態を検討している。認知機能が低下して経口摂取を拒否したり望まなかったりするケースはPEG栄養のみとなる。しかし身体機能が改善して座位が可能となり食思のあるケースでは、嚥下評価と造設後の嚥下訓練で何かしらの経口摂取が可能となっている。

●嚥下訓練とPEGの果たす役割

 嚥下障害が脳卒中急性期にみられるケースでは、当初経鼻胃管栄養を行っても、時間経過で十分な経口栄養を取り戻すことが多い。回復の予測は病変の広がりや陳旧性脳病変の有無、発症時年齢で予測可能である。しかし、むせ込みや嗜好の変化、体重減少などの嚥下障害の兆候が認められて数カ月以上経過しているケースでは、紹介時の脳画像で脳萎縮による両側島回の露出、硬膜下水腫、ラクネの多発を認めることが多い。臨床的には偽性球麻痺であり、嚥下障害に加えて構音障害や嗄声があり、認知機能低下を伴っていることが多い。このような場合、経口栄養のみでの生活体力維持は困難と判断される。ある程度の経口摂取が可能で身体機能の著しい低下がないケースでは、嚥下訓練で嚥下調整食(軟食やトロミ食などの嚥下治療食)で退院出来る場合も多い。しかしその後に再び誤嚥を起こすことがあり、その場合、栄養の安全弁にPEGを造設を勧めている。

●嚥下障害の予後

 嚥下障害の原因や発症後の期間、年齢や認知症の有無でその予後はさまざまである。しかし生命や体力維持のために何らかの栄養手段が必要である。重度の認知症や意識障害でない限り、生命維持に必要な栄養を手足を抑制して経鼻胃管や静脈栄養で行うことは患者に苦痛を強いる事になり賛成出来ない。また抑制を良しとしない施設入所も困難である。たとえ高齢であっても、また終末期であっても意識がある限り、苦痛を与えない緩和医療としてPEGは最良の方法であり、PEGは施設での看取りを可能とする有効手段でもあると考えている。

※本稿は、由利本荘医師会報NO.595「2024年新春特集号」“いいたい放題”に掲載した



2023年8月18日金曜日

[IS-REC/ISSUES]『大人の発達障害とリハビリ入院の接点』

 大人の発達障害については近年、話題性に富むテーマである。しかしその診断は精神科領域でもかなり難しいらしい。精神科診断で、“性格環境因性”という要素がある時に発達障害を可能性のひとつとして考えるようだ。ただ大人の発達障害は近頃さまざまな情報から社会生活上の困難があると、自ら“自分は発達障害ではないか?”として精神科を受診するらしい(宮岡 等・内山登紀夫著『大人の発達障害ってそういうことだったのか』医学書院2013年)。最近、リハビリ入院のケースに相次いでそういった事例を経験した。以下、ケースが特定できない範囲で自験例を紹介する。


事例A:40代男・高校卒独身


 実母が付き添い、急性期病院から脳出血後リハビリ目的に転院した。前医情報や付き添う母親の説明では既往に特記なく、介護職などの職歴もある。運動失語・右片麻痺の前医診断だがいずれも軽微。転院後短期間に歩行も可能となり、排泄を除く病棟生活も自立に近づいたが、言葉のやりとりだけは興奮しやすく困難であった。理解障害や言語表出に錯語はないため失語とは異なる情緒異常によるコミュニケーション障害と判断した。排尿困難が続き、留置カテーテル状態で退院。排泄の問題を除けば日常生活の自立度が高いため、復職の道筋を示した。しかし母親を仲立ちにした意思疎通で自ら障害者の軽作業所利用を希望した。


事例B:50代男・大学卒独身


 近県から紹介。既往に心疾患や高血圧・糖尿病あり。秋田県内に姉夫婦が在住し、姉を頼って来県した。生活歴では大学卒業後、職を転々とし最近は派遣職員として全国各地で生活していた。最終的に近県に在住、その折に姉が訪ねると居住先アパートはジャンクフードの山で、いわゆるゴミ屋敷同然であったという。背景疾患治療が不規則であったらしく出張先の屋外で転倒、そのまま起き上がれず近医へ入院した。糖尿病性ケトージスとサルコペニアの診断で前者の治療後、勤め先のある近県かかりつけ病院へ転院。治療とリハビリが行われた。当院へは継続リハビリ目的に紹介。入院時、低タンパク・低アルブミン血症とサルコペニア・筋力低下著しく、高タンパク食で低栄養改善と筋力回復を図った。しかし糖尿病性網膜症・白内障もあって歩行補助具は外せない状態で施設入所退院となった。


事例C:50代男・大学卒独身


 頭部打撲による脳挫傷後7週目にリハビリ目的で紹介。転院時、意識・見当識良く認知機能良好。筋力低下や体幹失調による開脚歩行傾向、手指巧緻障害がわずか指摘できる程度。両側前頭葉障害の影響で反復的行為あるが注意機能低下は目立たず、指示されれば自己行動制御も良好。後日の高次脳機能精査で遂行機能に軽度の障害あるが知識や記憶検査は正常であった。脳挫傷後遺症が心配され、前医でも予後は厳しいと説明された。約2カ月半の入院中、病棟生活は規則正しく訓練にも熱心で優等生レベル。但し過剰に礼儀正しい事や病棟廊下の頻回周回行動がやや異常に感じられた。ほぼ身体能力が回復した時点で今後の復職について相談した。返答は予想以上に消極的で結局、障害者福祉施設作業所の利用を自ら希望して退院となった。


若年のリハビリ入院では発達障害も背景にあるかも知れない

 3事例に共通する点は高卒以上の学歴に関わらず独身で就業に難があったこと、不足を親族が補っていたが生活管理上の問題を抱えていたこと、自己肯定感や自己高揚感に乏しいことなどが挙げられる。前述成書によれば大人の発達障害はその履歴をたどるのが難しく“性格環境因性”を証明できないことが多いという。以前、若年脳卒中患者を検討したことがある。該当3分の1は、血管異常(解離性動脈瘤・脳血管奇形・モヤモヤ)であったが残る3分の2は高齢者脳卒中と同様の原因であった。当時の検討では、大人の発達障害についてまったく眼中になく、背景因として検討しなかった。しかし今考えればそのようケースもきっとあったのだろうと考えられる。老リハ医となってもまだまだ実臨床から学ぶことが多いようだ。

由利本荘医師会報NO590『銷夏随想』

2023年8月14日月曜日

[IS-REC/ISSUES]高齢者の活動を支えるICTとモニタリング手法

○リハビリ入院する患者さんから思うこと

 
   高齢で要介護度の高いリハビリ入院患者さんが多くなっている。また地域で介護保険のお世話になっていない高齢者もさまざま持病があり、身体リスクを抱えてプレフレイル・フレイル・サルコペニアから要介護状態に陥る場合も多いだろう。健康寿命、男72歳・女75歳で寿命を終えるまで更に男9.0年・女12.4年の期間がある。この健康寿命を超えた時期にリハビリを希望して入院するから、患者さんや御家族に納得ゆく退院を提示するのはなかなか難しい。また入院する患者さんは、経済的支援や医療介護面での支援を必要とする背景、家族構成でいえば高齢二人世帯や、“80-50(80代親と50代子の同居)問題”などを抱えていることが多いので、そうなると障害の軽減・回復を図るリハビリ医療だけではもうお手上げ状態である。そこで、ある程度経済的に恵まれ、自ら障害の発生や進行を予防するヘルスリテラシーを持った高齢者を念頭に介護予防戦略を夢想してみる。


○健康維持やフレイル予防に役立つICTやAI機器の活用

 
 健康寿命延伸を目的にさまざまな地域の取り組みがある。コロナ感染の蔓延でそういった取り組みは一時下火となったが、それとは別にネットを利用した相互情報交換の場を事業として提供した自治体レベルの成功事例がある(宮寺ら、総合リハVol.51、2023年)。この取り組みでは自主学習や自主トレーニングを主体に、LINE活用によるネットでの相互学習効果が成功の鍵となっていたようだ。スマホ世代が増え、今後はこういった情報交流が社会的孤立を防ぎ、健康志向を生む結果につながってゆくのかもしれない。

○疾患増悪や障害発生を予防するモニタリング手法

 
 さまざま持病を抱え治療を受けている高齢者は多い。疾患を重複して抱え、多種の内部障害があっても元気に暮らしているケースは決して稀ではないのだ。いわゆる“無病息災”や“一病息災”である元気老人も確かに数多いが、大半は背景疾患を重複して持つ高齢者社会である。こういった高齢者も適切に疾病やバイタルサインをモニタリングできれば体力や筋力を維持向上することができる。リハビリ医学の領域では、フレイル・サルコペニアの診断と治療的介入から、1)体組成、2)心拍モニター、3)加速度モニター、を利用するようになっている。体組成は日内変動もあり、一定時間帯に電気インピーダンス法によって正確な測定をすることが望ましい。しかし個人向けで簡便に測定できる体組成・体重計もあり、精度の限界を知った上で上手に利用すれば結構参考となるだろう。心拍モニターや加速度計の機能は今のスマホやウエアラブルデバイスであるスマートウオッチにはがたいてい備わっている。操作法さえ知れば決して難しくはない。加速度計はいわゆる“万歩計”として多くの高齢者が利用している。スマートウオッチにある心拍モニターは突発性心房細動を検出できる。可能であれば利用したいものだ。


○血糖モニター、“フリースタイル・リブレ”


  I型糖尿病やインスリン注射が必要なII型糖尿病患者では持続血糖モニター(CGM)ができれば治療コントロールがとても容易となる。糖尿病に限らずハードな運動をこなすスポーツ選手などでも運動時のカーボローディイグを検討する上でCGM活用は有効だろう。最近、CGM機能を謳うAbbott社の“フリースタイル・リブレ”が市販もされるようになって一般にも普及しつつあり、世界的にも注目されている。これは皮下に細い留置針の電極を置いて組織間液の糖度をモニターするもの。血糖値との相関は良好で、その測定結果は血糖値として表示される。糖尿病の有無に関わらず、長時間運動を行う高齢者では“フリースタイル・リブレ”の活用を考えてみても良いだろう。


○医療者として高齢者の活動を支える

 
 高齢者が安全に運動を行い、フレイル・サレコペニアを予防して健康寿命を延ばすにはやはりそのリスク管理が大切である。そのためには専門領域の身近にあるさまざまなICT手法やモニタリング手法を宝の持ち腐れとせずに医療専門職として一般に広く紹介・普及させてほしいものだ。

 秋田県医師会報NO.・2023年8月銷夏随想から




2023年6月25日日曜日

[IS-REC/ISSUES]~“活かす医療”とモニタリング

●リハビリ科入院現況

 入院患者さんは平均寿命をとうに越した高齢者が多い。病院の主要な役割は病気を治療して元の生活に戻すこと。しかし実態はリハビリ入院であっても生活機能を回復して自宅に戻る例は多くない。加齢や疾患による嚥下機能低下は栄養失調やフレイル・サルコペニアの原因でリハビリ以前の問題である。リハビリ医療は最低でも患者さんを“活かす医療”であり、治療方針が自然な経過に任せる”看取りの医療“に振れない限り、とてつもなく大変な作業工程である。“リハビリ科”を標榜するとは、患者さんの機能回復、QOLや尊厳の維持を目標とすること。しかし最近はこの生命を取り戻すという最低限の要請に精一杯である場合が多い。

●治療の流れとモニタリング

 死期が近い場合や急変時には酸素吸入を行い、心電図や呼吸、血中酸素濃度のモニターを行う。この辺りはほとんど事後報告を前提にベテラン看護師の判断で行われる。これに対して採血・採尿検査や心電図・心エコーなどの生理検査、胸部レ腺、CTなどが入院時に行われる。これは、“活かす”か、“看取る”かの判断、入院治療の方針決定のために行われる。医療として当たり前の流れであるが、患者の活動(activity)を働きかけるリハビリの分野ではさらにリスク管理も念頭に入れたモニタリング手法が求められる。


●リハビリのモニタリング指標1:体組成計

 電気インピーダンス法により体組成を測定できるInBody®は、栄養や運動効果の客観的指標として欠かせない機器である。体重増加や減少が体組成の何によって生じているのか、特にサルコペニアの栄養と運動による治療効果判定には是非欲しい評価機器である。InBodyS10®は、立位・座位・仰臥位で体組成を測定できるので、嚥下障害による栄養障害を治療に掲げる歯科医院の報告がyoutube動画にもアップされている(https://www.youtube.com/watch?v=dgwavLciRco)。体組成計により大腿四頭筋など局所筋量増加を数値化し体力や動作耐久性の向上を筋量の増大として客観的に捉えられるのはすばらしい。


●リハビリのモニタリング指標2:嚥下機能

 嚥下障害の評価により経口栄養で生命維持できるか?、代替栄養としての胃瘻は必要か?、気晴らし的に経口摂取可能な食形態はどんなものまで許容できるか? これらは嚥下内視鏡VE、嚥下造影VFで評価され、今や数多い誤嚥性肺炎の既往ある嚥下リハビリに欠かせない手技である。


●リハビリのモニタリング指標3:心拍数と活動量

 スマホは年齢に関わらずその普及がめざましい。これに対してスマートウオッチを利用している高齢者はまだ多くはない。しかし活動量の指標でもある万歩計を利用する高齢者は多いだろう。今や安価なスマートウオッチでも心拍数と活動量をみる加速度計を備えていることが多いようだ。心拍と加速度を運動時にモニターすれば非常に有効な運動負荷時のリスク指標となり、リスクを抱える高齢者の日常活動監視(その例に不整脈監視機能が挙げられる)や適切な運動負荷判定が可能となる。リハビリ医療での運動負荷モニターに有効なのはいうまでもない。最近は導電性の着衣から活動計測(心拍と加速度)を行い、脊損患者など歩行不能なケースでも歩行量に代わる動きの指標、体幹運動指数を測定記録して活動性の回復をみる、“hitoe システム”がリハビリ現場でも報告されている。


●血糖モニタリング:フリースタイル・リブレ

 糖尿病治療での血糖測定の意義は大きい。最近は血糖を持続モニターするさまざまな機器が利用可能となり、医療現場ではI型糖尿病やインスリン療法を必要とするII型糖尿病で持続血糖モニタリング(CGM)が行われている。その目的で利用される、Abbott社の“フリースタイル・リブレ”は皮下に細い留置針の電極を置いて組織間液の糖度をモニターするもので血糖値との相関も良好で、測定値は血糖値として表示される。リブレはアマゾンで機器一式購入可能であり、糖尿病患者のみならずマラソン選手などでも利用されている。食事や運動に合わせて任意の時間にスマホを電極付近にかざせば簡単に血糖測定が可能である。針を刺さずにCGM可能なスマートウォッチもフランスのPKvitality社が開発中で K'Watch Glucose(ケーウォッチ グルコース)として近々市販されるそうである。CGMが簡単に可能となれば糖尿病管理が容易となり食事療法や運動療法にも一大革命となる。


●重複障害を持つ高齢者を“活かす”リハビリ医療

 心不全や腎不全、心筋梗塞後や脳卒中後、骨関節疾患を合併後の重複障害はハイリスクで従来であればリハビリ医療の対象外であった。しかしさまざまなモニタリング手法が利用されて、高齢者重複障害でも適切な運動療法で疾患自体の改善までもが期待できるようになった。リハビリ医学は今、“Adding life to years and years to life”を合い言葉に進歩してきている。









2022年11月15日火曜日

[IS-REC/ISSUES]:~リハビリ科入院、“生涯の終章を決めるもの”~


●当地区(由利本荘)診療圏概況と当院

秋田県と由利本荘地区人口動態統計調査によると、当該診療圏の総人口は95254人(2022年9月現在)、高齢化率38.3%(75歳以上で20.1%)である。世帯概況では高齢者のみ世帯割合32.7%(うち要介護者割合28.5%)、世帯主高齢者で一人暮らし世帯18.1%(同32.7%)、二人以上世帯14.6%(同23.3%)、すなわち全世帯の3分の2が高齢者のいる世帯であった。全世帯での世帯人数は平均3人未満で、高齢者が障害や重度慢性疾患を抱えると、その在宅介護力は介護保険利用を考慮しても期待が難しい状況と考えられた。当院は当診療圏の慢性期医療を担う医療機関として地域への復帰を目指すリハビリと、入院治療継続が必要な医療機能、そして終末期の看取りを行っている。本年1月から9月末日までの入院患者の実態を調査した(表1)。入院者は在宅や施設入所の地域復帰を目標としたリハビリの有無で大きく2群に分類された。リハビリあり147人・なし175人(総数322人)で後者には看取り目的の入院も含まれる。いずれの群も80歳代が4割で年齢の中央値は84歳・88歳であった。退院時転帰をみると、リハビリあり群では施設を上手に利用しながら自宅退院する割合が最も多く30.6%、次いで施設入所24.5%、死亡10.9%であった。ここでは在宅復帰割合が地域包括や療養病床に求められる7割以上からほど遠い数値であることに留意が必要である。入院時からリハビリを行わなかった群の理由はさまざまである。看取りのケースを別とすれば多くはリハビリに耐えられない全身不良か高齢、またはレスパイトを含む短期調整入院である。半数以上の100人(57%)が死亡退院であった。

●入院患者栄養の問題

 本年1月以降、毎月の栄養補給方法をみた(表2)。経口栄養・非経口(経管)栄養・静脈栄養の割合をその実数でみると、2:2:1の割合で変わらなかった。経口栄養のうち、嚥下調整(困難)食提供割合は30%前後で、特に最近は増加傾向である。超高齢者が多く、リハビリ実施困難が相当数おり、また看取りのケースが含まれることを考えると納得される数値である。

●超高齢入院者の飢餓・低栄養

 当院入院患者の多くが、数値上、低栄養・飢餓状態であり、体重減少、かつサルコペニアが多い。地域復帰を目標に行われるリハビリ実施例は徐々に機能障害が進行した、“廃用症候群”を病名とする場合が多く、リハビリ開始と並行して栄養障害を治療ターゲットとする必要がある。全身疾患に配慮しつつ、摂取カロリー量のアップ、蛋白摂取割合の増加(具体的には高タンパクゼリーの追加)を図っている。超高齢者の低栄養、慢性疾患関連低栄養は、オーラルフレイルや脳機能低下に伴う偽性球麻痺性嚥下障害が多い。そのほか、慢性炎症が関わるもの、疾患に起因しない栄養摂取不良(飢餓関連低栄養)があり、特に後者は加齢・薬剤性・精神心理的変化による食欲不振が多い。

●入院患者の生命・生活機能維持の栄養管理

 昨年から開始した、“嚥下評価入院”では、チームアプローチにより問題抽出とその解決を図っている。VE、VFなど嚥下機能の直接評価に加えて、食べやすさと栄養諸量を考慮した食材の提供(栄養科)、身体機能と口腔嚥下機能訓練(リハスタッフ)、服用薬剤チェック(薬剤科)、家族環境と精神心理的サポート(連携室と病棟看護チーム)を行う。まだ評価入院依頼のケースは少ないがそれ以外の入院患者を含めて成果は挙がっている。栄養障害がそれまでの独居、孤食などの環境要因が主たる原因であれば、要素的な嚥下困難は少なく、仮性認知症で障害は見かけ上にすぎない場合が多い。生活時間の工夫、上手なデイ利用などの環境調整、食材の工夫、サプリの利用で栄養の改善と生活機能の回復を図る事が可能となる。

●生涯の終章を決めるもの

 高齢化でもたくさんの元気老人がおり、新聞の“お悔やみ”欄を占める物故者年齢は90歳以上がその大半である。その“お悔やみ”欄の中には当院で亡くなられた方も散見される。“ピンピン・コロリ”と逝ったのか、それとも当面はその広告に載ることなく地域復帰を果たしたのか、その場に立ち会う機会のあった者として考えてみる。ヒトの生涯の終章を決めるものは何か? 癌死など寿命を損なう疾患死を除けば、やはり栄養の問題が大きいと思われる。高齢でも経済的にそこそこで、周囲に良い関係を持った家族縁者・知人・友人がおれば、こころの栄養は満たされる。身体の栄養も医療者の知恵を借りて何とか解決できるものだ。生涯の終章は、生きるに足りる栄養を維持した上で、“コロリ”と決めたいものだ。

※当院入院に関わる資料、栄養に関わる資料は地域連携室(岡本)および栄養科(東海林)の協力を得た。





2022年4月13日水曜日

IS-REC/ISSUES:「いいたい放題」リハビリ科入院からみた障害高齢者の現場~診療報酬改定~

由利本荘医師会報に掲載した記事を投稿します。(由利本荘医師会報NO.574・2022年4月号)

●超高齢化を反映する入退院

 リハビリ科入院(リハビリ目的入院)を語る前に当院の入退院の現状と病床運用について触れる。端的に言えば、入院患者の超高齢化である。看取りや終末期医療対象が増え、在宅復帰ケースが極限られている。現在、病棟は地域のニーズに応えること、病院収入を最大化することを目的に、一般病床(15)・地域包括ケア病床(35)・療養病床(50)・障害者病床(50)で構成される。この機能別病床をさらに効率的に運用するため、患者の病床間ベッド移動を毎日行い、一般病床の稼働ベット数と平均在院日数、地域包括ケア病床の在宅復帰率の最大化、障害者病棟の相当患者割合、療養病棟のADL区分2・3割合の最大化を図っている。

●リハビリ入院の実態

 当院は慢性期病院の主要な柱として、障害高齢者の機能回復・生活機能回復や生活の質向上を目指すリハビリを重視する。過去20カ月間(2020年1月初~2021年8月末)、実際に入院してリハビリを行った患者は総数387名、年齢分布27~98歳、中央値79歳であった。障害の原因をみると、国民生活基礎調査などでは、認知症・脳卒中・衰弱・骨折転倒が4大原因とされるが、当院の同時期の検討では廃用症候群が半数を超えていた。これは、障害が肺炎や心不全、その他の内科疾患・認知症・老化衰弱などで徐々に起こり自立生活が困難となった事を意味している。こういった背景での廃用症候群は、回復に時間を要し、また回復自体が望めない場合が多い。また患者の家族構成をみると、独居83(21%)・夫婦世帯67(17%)・患者と子の二人世帯40(10%)その他197(51%)で、ほぼ当地域の家族構成に一致していた。一般に障害を持つ高齢老人が在宅で過ごすためには、患者本人一人で留守居が可能か、在宅に適宜交替できる複数の介護者がいるかなどが目安となる。患者を含め3人以上の世帯でも患者以外は働きに出ている事が多く日中の介護力には期待できない。世帯構成での条件達成が困難な場合にはデイサービスやショートを適宜利用する。しかし実態をみると、在宅に戻るチャンスのないロングショートが施設利用者の大半を占めていた。

●診療報酬改定のねらいと当院の状況

 この度の診療報酬改定を日本慢性期医療協会・武久洋三会長の説明に基づいて、特に慢性期医療を中心に触れる。それは療養病床・地域包括ケア病床に関わらず、①その医療内容と質のレベルアップ、②栄養・薬剤・リハビリ重視、③質の向上を目指した機能分化・タスクシフト、である。特に①③に関連して、増え続ける高齢者の救急医療に対応する慢性期病院の整備を求めている。救急医療管理加算に該当しない場合でも24時間365日、患者を受け入れよという事である。①では、地域包括ケア病床の在宅からの入退院割合や救急(緊急)入院割合のハードルを高くしている。現状、出口である当院ケア病棟の在宅復帰率20%未満では到底条件をクリアできず、病床数を減らすかすべて返上するかの選択肢しか残されていないようにみえる。療養病床の質向上については栄養とリハビリに関して厳しい規準を要求している。リハビリ医の立場から妥当で既に実施済みの規準もあるが、いずれも診断・評価やカンファランス等で時間をとられ、少ないスタッフでは相当厳しい内容である。ADL改善度のFIM継時評価、またおむつがはずれた割合、IVHや非経口栄養の患者を経口栄養のみに改善させた割合などを規定して加算や減算を行う仕組みを取り入れている。摂食嚥下について言えば超高齢者を対象としたリハビリでは代替栄養と経口栄養の併用がせいぜいの現実的ゴールであり、経口摂取のみに切り換えられるケースは決して多くはない。

●超高齢化の現状に見合う改定なのか?

 現在の秋田県や由利本荘地区の高齢化率は、2045年頃の全国平均に一致する。今回改訂の主旨に沿った質の高い慢性期医療を当面実現可能な病院は当地区以外の全国にはたくさんあるのかもしれない。しかしそれらの“質の高い”慢性期病院が2045年頃も同じ質を維持しながら生き残り続けることは本当に可能なのだろうか?当地区・当院の現状からは到底そうとは思えないのである。


2018年8月7日火曜日

[IS-REC/BOOKs]広井良典『持続可能な医療』(ちくま新書」を読む

“超高齢化”の現状とその意味

人口減少と高齢化で医療・介護・福祉すべてが危機に瀕している。医療の現場は治療効果が余り期待できない多病を抱えた超高齢者が戻る先も覚束ない状態で入院し、ベットを埋めている。週刊医学界新聞第3284号(2018/08月)の『連載:高齢者の「風邪」の診かた(8)』で高齢者の急性感染症の実際的治療指針が解説される。その中で、高齢者感染症の落とし所として、標準治療から“治療しない(緩和治療)”まで選択があり、“元々ADLに問題なく認知症もなければ基本的に標準治療をめざす”、“それ以外の場合は個々の患者の病態やそれまでの生活背景から落とし所を考えた方針を立てる”としている。超高齢者で、ADLに問題あり認知症もあるケースが大半を占める我々のようなリハビリ病院では、しばしば入院前後に起こる急性合併症治療のあり方をなかなかこうはっきりとは割り切れない想いである。

広井良典『持続可能な医療』

さて、広井良典先生の標題の本を先週末からかけてようやく読み終わった。“人口構造の超高齢化は母数となる子供や現役世代の減少の裏返しであり、超寿命の結果ではない”。米国の医学医療への財政配分を例にとりながら、“現状、日本では医学研究費も医療費にもあまり金をかけず、国民の寿命延伸に成功している。米国のように医療技術革新に大きな予算を配分しても、今後はその費用対効果は慢性疾患や老人退行性疾患が圧倒的に多い現状で著しく低下せざるを得ない”と医療費の配分は基礎的医学研究よりもますます高齢者介護や福祉に回されていくだろうと予測している。

「持続可能な医療」を指向する

「持続可能な医療」を指向する上でそれは「持続可能な社会」とも共通する。それには米国の大量生産・大量消費そして大量廃棄という生活スタイルからの脱却が必要であり、「持続可能な医療」にあっても必ずしも医療費の規模縮小の問題ではないとしている。また有限な社会保障費・医療費の使われ方として、その是正が様々な点で必要であると述べる。社会保障費の規模は全世界的には小さい部類なのに高齢者関係支出(年金)の規模が非常に大きいこと、あるいは歴史的・政治的背景があって、日本では病院より診療所に医療費配分が傾斜し過ぎており、これを是正する必要があること。医療・介護・福祉全般では陽の当たらない周辺部分に配分を厚くすることが求められていること、などなど。また社会保障全体の問題として、各人が人生の初めにおいて“共通のスタートライン”に立てるという状況が大きく崩れている事が問題だと指摘している。一方、高齢者の孤立の問題とも関係して、コミュニティーの再構築、一言で言えば“共助”を地域コミュニティーに再構築する重要性を説く。本書を通読しておおまかにその主張をまとめると、その内容は現状の社会保障や医療政策の批判的検討というよりは、個々の考え方(“超高齢化”という人口構造のとらえ方、ポジティブ思考、死生観など)のパラダイムシフトを促す内容に重点を置いており、問題の難しさ解決の道筋、方向性を一定示してはいるが、その多くを個の責任に帰された感じが強い印象を受けてしまった。

2018年7月18日水曜日

[IS-REC/MyLIFELOG]■2018年07月18日(水)曇り

早朝トレッドミルを1週間ぶりに再開!

今朝、1週間ぶりに早朝トレッドミルを再開した。祝日休暇「海の日」、16日に“ロングコース”12kmのウォーキングを試みてメマイ発作はなかったので1日おいて早朝トレッドミルに乗った。ただ発作性眩暈を再現するような同一条件で走るのにはやはり不安あり、時間34分、距離5kmで終了した。(グラフ)運動後、特段の異常はなかった。やはりややheavyな運動(ランニング)後の爽快感は格別だ。汗を流した後の食事は、今朝、ワイフが朝市で購入したヒラメとミニトマト(“アイコ”という)など(写真)。


連休明けは超多忙!

朝食後いつもの時間に出勤。出勤後のオーダー端末での指示受け・指示出しもいつも通りだが休みが続いたので処理件数がいつもより相当多い。午前中、脊髄梗塞後遺症の外来患者Kさんの診察を終えた後、病棟回診。昨日リハセン出張中に電話連絡あり投薬・処置をお願いしたKH(73歳男)さんの肋間神経に沿う帯状疱疹を診察(写真)。昨日痛痒さを訴えて担当看護師に発見されるまで本人も気づいていなかったらしい。Y先生に昨日からバルトレックスを処方してもらい、今日は皮膚科K先生が来診されるので早速、局所処置もお願いした。
今の時期、退院患者が多く担当入院患者は20名を下回っている。この位の数だと密度の高い診療が出来るので有り難い。午後2名の患者さんについて家族と面談。いずれもその家族構成から介護力なく、自宅退院は困難かヘルパーを上手に使うなど、工夫が必要で担当ケアマネに同席してもらい相談する。医療やリハビリの話や説明が前段に来るのは勿論だが、後段は介護・福祉の問題。勉強不足もあり大変だ。午後3時から嚥下内視鏡1名。その後、23日退院予定となったMCさんの退院に関わる書類作成を行う。午後6時過ぎ帰宅。


“豪華夕食”のあと、Casio PROTREK (PRG-40) を復活!

夕食は、メバル煮つけと、鯛のカルパッチョがご馳走となる豪華版。またワイフの韓国籍知人から購入するキムチは市販のものと違って甘みを付けていないのであっさりしてとても美味しい(写真)。夕食後、近々予定しているトレッキングで使う登山用腕時計Casio PROTREK(PRG-40)復活に取り組む。しばらく使用していなかったため、16日、時計店でバッテリー交換、今日はネットで購入した時計用ベルトを交換した。見た目はすっかり新品となった(巻頭写真)。

2018年7月16日月曜日

[IS-REC/ISSUES]良性発作性眩暈を経験!

早朝トレッドミル終了直後、突然めまいが・・

7月11日[水]早朝トレッドミルを実行した。運動直後、シャワーを浴びようとして突然のめまい感に襲われた。何とかめまいに耐えてシャワーを浴び着替えを始めた所、“めまい感”は右方向に回る“回転性めまい”に代わり、立っていられなくなった。仰向けに臥床しているとめまいはなく、大丈夫かと思って体を起こすと強い嘔気が誘発され、空腹の胃液を嘔吐。寝ていて目を開けるとやはり天井が右方向に回転していた。耳鳴りはなかった。しばらく安静を取る必要ありと判断して、仰向け・閉眼のまま職場に電話連絡、出勤が遅れる旨伝言を依頼した。午前9時30分頃、症状がやや落ち着き、起きても回転性めまいはなく、頭重感と軽いめまい感まで改善していた。めまいの原因診断精査と治療が必要と判断して、妻に送られて職場に向かった。尚、この日(7/11)のトレッドミル運動は週日プログラムでややheavyだった。すなわち、warm-up、cool-down入れて54分のFatBurn Workout.平均運動速度8.6km/h、平均HR121pbm、走行距離7.75km、消費カロリー390kcal(グラフ)

職場出勤後、頭重感とめまい感はやはり続いており、血圧も高め(BP150/90)で、午前中から午後まで昼食摂らず横になり、午後2時過ぎ、緊急採血と緊急脳CTをお願いした。この間の医局から外来への移動中、やはりこみ上げる嘔気があり、自分でも“ただならないことが起こったのでは・・”と不安で一杯だった。

“小脳出血”ではなかった!

脳CTは幸いにも出血性病変などなく一安心。採血では脱水所見あり、嘔気止めを入れて点滴。夕方、妻に迎えを頼み自宅に戻った。嘔気はないが食欲なく夕食も摂らず就寝。結局、翌日午前6時過ぎまで12時間程眠り続けた。7月12日木曜朝、恐る恐る起きたが予想以上に快適だった。もう“めまい感”も嘔気もすっかり雲散霧消していた。同日より通常勤務(入院や検診対応などスケジュール一杯だった)。幸いにめまいや嘔気をぶり返すことなくその日の仕事を済ますことが出来た。

自己診断は“良性発作性眩暈症”

[結論]経過から内耳前庭の耳石が三半規管に迷入して起こる“良性発作性眩暈症”と診断した。自分自身の経験は勿論初めてだった。

2018年5月12日土曜日

[IS-REC/ISSUES]■コマーシャルベースリハビリ

CBR?
CBRと言えば、リハビリに関わる人的・物的資源に乏しいアジア各国に展開される“community-based rehabilitation”を指している。日本国内では一方、リハビリに商機を見出す、“コマーシャルベースリハビリ(CBR?)”が急増しているようだ。
最近、ネットで“保険外リハビリ”を検索してみて、そのような施設や事業紹介が多数掲載されているのにびっくりした。国の低医療費政策の中で障害者や高齢者の機能障害に対する医療的リハビリに対する制約が強まっている。入院や外来でリハビリを行う患者も既に介護保険を利用している被保険者に対しては介護保険によるリハビリへの移行を進める取り組みが医療者側に義務づけられている。医療費の問題ではなく、リハビリの質の問題として、これまでも医療リハビリ終了後に生活復帰へのモラトリアムとならないように、訓練士に頼らない自主トレ指導や、無原則的・永続的通院リハビリが行われないように、“リハビリから卒業”を促す工夫をさまざま行ってきた。無論、現在でも介護保険で十分なリハビリを受ける体制にないので、自己努力だけでは機能低下を招かざるを得ないケースでは医療的リハビリを長期継続している。
さて、先月4月半ばの朝日新聞に東京都内で保険外リハビリを行う施設の話題が、“リハビリ事業に参入、云々”という記事で紹介されていた(写真記事)。こういった施設や事業が増加しているのはネットの記事でも明らかだ。
今日、所要で秋田に出かけ、手形山崎のバス道路を歩いていると、このような施設が顧客(患者)を送迎して営業されているのを目の当たりにした(写真)。この施設は既に数年前にオープンしており、利用者も相当多いという。以前、秋田市内で言語発育遅滞の幼児や失語症の患者を受け入れる開業STを聞いたことがあった。身体機能訓練を主に行う“保険外リハビリ”施設は、PTやOTが開業して行っているようだ。

本来、チームアプローチで、しかも国民皆保険の元で行われるリハビリも徐々に変容して“お金次第”の機能回復・機能維持になってきつつあるということらしい。


2018年5月9日水曜日

[IS-REC/MyLIFELOG]■2018年05月09日(水)薄曇り

うるい”=“オオバギボウシ”

“うるい”=“オオバギボウシ”
今朝の朝食蒸し野菜は、もやし・タマネギ・ブロッコリー・ほうれん草・椎茸のほか、今朝市場で仕入れた、“うるい”(写真)が入っていた。“うるい”は私にとって少し珍しいので調べてみた。ユリ科ギボウシ属の多年草。正式名称は、“オオバギボウシ”。山カンピョウやギンボなどとも呼ばれる山菜。最近はやはり食用栽培されている。今朝市場で仕入れた、“うるい”が山菜なのか、栽培物かは不明である。蒸して食べてもその食感はしゃきしゃきして結構おいしかった。朝食はその他、サクラマスの刺身・ゆで卵・納豆など(写真)。

今朝も走った!!


早朝トレッドミルランニングはスケジュール通り。運動時間54分、速度8.96kmh、
距離8km、平均HR118bpm、消費カロリー371kcal。ここ3日間、ほぼ同じペースの走り(グラフ)。朝食後、いつもの時間で出勤。今の時期、紹介入院患者が少なく入院患者も減る一方で仕事は楽で有り難いが少し不安となる。入院中のIS(67歳男)さんは右穿通枝域脳梗塞だが、日常生活ほぼ自立し、ゴールデンウィークの自宅外泊で問題なかった。リハ室での左上肢機能訓練を見せてもらった後、本人と相談して今週末の退院を決定。リハビリ入院はゴール到達までの入院期間と本人の満足度で治療成績が決まるから早い退院でまた入院患者数が減少するのも致し方がない。午後、「嚥下評価検査説明書」を引き続き作成。午後5時過ぎ帰宅。午後6時のラジオニュースを聴きながら夕食は少し早め。
今日はコシアブラのてんぷらと、甘エビ刺身がメイン・ディッシュ。今日は気温低めでこの所、暖かくて着けることのなかった床下暖房をオンにした。今晩は体の芯からあったまる必要あり、鶴舞温泉へ。

2018年5月8日火曜日

[IS-REC/MyLIFELOG]■2018年05月08日(火)晴れ

代搔きの意味と実際を知る
 先週散歩の折、子吉川河川敷に近い田んぼで代搔きが始まっていた。5月初めの爽やかさと季節感を感じさせる光景だった(写真)。代搔きとは田起こし後の田んぼに水を張り、田の土を更に細かく砕いて表面を平らにする作業。
 今日、リハセン外来に数カ月に1度の割りで通院する軽い脊損後遺症を持つKK(65歳男)さんがやってきた。彼は米作り農家で、機械を使うとは言え、大方の作業を自分一人でこなしている。彼に代搔きについて改めて教えてもらった。雪解けで春を迎えた桜の頃、市役所(役場)から水路に水を送る日程連絡が入る。それに合わせて田起こしと、自分の田んぼに至る水路の清掃作業が始まる。共有水路から自分の田んぼに水が引かれると天候をみてどこの農家も一斉に“代搔き”を行う訳だ。当然ながら稲刈りまで水路に水は満たされ、その後再び水路の清掃を行って、田の水は消え、米作りが終わる。学童期などにこういった米作りの話は聞いたのだろうが、実際の米作りの流れについて、“代搔き”作業を通じてその知識を新たにした次第である。


今朝も早朝トレッドミルやりました!
 連休明け2日目も無事、早朝運動を実践した。ほとんど昨日と同じペースだった。時間54分、速度9kmh、距離8.12km、平均HR119bpm、消費カロリー382kcal(グラフ)。
シャワーを浴びた後の朝食は、ヒラメ刺身がメインで、そのほか定番メニュー(写真)。リハセン出張後の外来と午後からの胃瘻造設とボタン交換はいつも通り。今日午後、由利本荘に戻る頃、天気は良く余り風もないが、気温はやや低め。帰宅後、一休みしてから本日は再び職場へ。昨日診察したET(96歳女)さんが熱を出しているという。同僚のY先生が診察と誤嚥を疑って内服の抗菌剤を処方してくれていた。午後6時から病院運営会議に参加。今月に地域医師会総会が予定され、病院の借入金返済計画の見直しなど深刻な話の打ち合わせもあった。午後7時過ぎ帰宅。夕食は、カツオの刺身、鳥手羽と野菜のスープ、ほか(写真)。


2018年4月28日土曜日

[IS-REC][IS-REC/HOWTO]■FACEBOOK(FB)記事などをEVERNOTEで管理する方法

・“FBLog”というFB記事をEVERNOTEに記録しておける貴重なutilityが使えなくなっている。
・その代替方法として、“IFTTT”を介する方法がその“Applet”を作って実現できそうである。現に他の人が作成した“Applet”にそのような目的のものが数種類あり、試してみたが今の所、残念ながら正常に作動しない。
・そこで、別な方法がないか再検討した。
・小生の場合は、(1)毎日の健康維持のため食生活と運動記録を主体に公開ダイアリーを書きFBに公開している。(2)自分のブログ(http://akitanoichirosayama.blogspot.jp/)にも一部そのような記事を載せている。(3)そのため、可能であれば、FB記事もブログ記事も連続性を持ってevernoteにすべて保存できれば最高である。
・以上の欲張った目的を達成できないか、様々試みた。
・暫定的に以下の方法が比較的手間がかからず可能なので同じ目的を持った方は検証してみて欲しい。

●FB記事やブログ記事(または相互のリンク記事)をEVERNOTEで管理する手順
  1. EVERNOTEに送りたい(自分の)FB記事の表題をコピーしてEVERNOTEの新規ノートの表題とする。
  2. EVERNOTEに送りたい(自分の)FB記事を表示して、その最後の行にある、“シェアする”をクリックして、“リンクをコピーする”を選択する。
  3. リンクのURLをEVERNOTE新規ノートの本文に張り付ける。
  4. ブログ記事も同様に、送りたい記事を表示し、そのタイトルをコピーしてEVERNOTE新規ノートの表題とする。次いで、その本文にWEBビューワーのURLをコピーしてリンクとして表示させる。
・FB記事などに記したライフログをEVERNOTEで管理することは、これでさほど難しくなく可能である。しかしそのコンテンツがURL表示でそれぞれFBやブログにいかなければ確認できず、一覽性に難があること、EVERNOTEの強力な検索機能を使えない(たぶん)事などが今後の解決するべき課題と考えている。(2018/04/28[土])

2017年1月2日月曜日

[IS-REC/myLIFE] 『障害予防・ヘルスプロモーションから趣味へ』


  障害を持った方々を対象とするリハビリテーション科で長く仕事をしてきた。その関係でしばしば要介護の人たち相手に介護施設で健康講話をする機会があった。そんなとき彼らに向ける「健康寿命」と同じ意味合いの適当な言葉がなく苦労したことを思い出す。歳をとれば私自身を含めて、介護保険で他人のお世話にならなくとも多かれ少なかれ様々な余病や心身の不都合を持つのが当然だと思っている。医療にあまり明るくなければ医者に行って、そんな病気や障害も“治してもらえる”という幻想を持つ。施設での講話では“病気や障害と付き合い、今ある心身の不都合をそれ以上悪化させない、そのためにどうすれば良いか”という内容で話をしてきた。そして今もそういった内容で患者さん教育するのが私の仕事であり、私のライフワークだと思っている。

私のヘルスモーション

  さて最近では、職場でワークライフバランスが語られ、職場でのストレスチェックが義務化されるようになった。ストレスも当然、心身の不都合を悪化させる。患者さんに“病気や障害を悪化させないように”と説く以上、まず自らのワークライフバランスやストレスを考え、その対処法を考えて習慣化してゆく必要がある。そのような考えを元に、私自身もこれまで仕事を含めて、良しとする生活習慣を実践するように努めてきたつもりである。それは食生活や運動のみならず、衣食住の日常生活環境への配慮、悪しき習慣や誘惑を断つ“ヘルスプロモーション”の実践などを含んでいる。

ウォーキング、ジョッギングして記録に残す

写真1:活動量計OMRON WalkingStyle(上)、
HJA-403C(下)

  
  難しい理屈や理由づけはさておき、私の長年の趣味の一つは全くありふれた事であるが、健康維持に必要なウォーキングやジョッギングなどである。私なりにこのありふれた事が趣味の域まで到達していると思う理由は、ひとえに私の凝り性から来たものである。


運動は機器を使って、できる限り記録に留める

  運動は機器を使って、できる限り記録に留めるように工夫している。私の場合、機器の最初は万歩計(歩数計)、次いでランニングまで記録できる活動量計、さらに消費エネルギーや脂肪消費、心拍(脈拍)などを記録する機器を様々使ってきた。記録は定期的にブログに書いたり、最近ではフェイスブックに公開したりしている。

生活活動・運動を記録する機器のめざましい進歩




写真2:脈拍モニター付き
活動量計hr-70
写真3:hr-70による脈拍モニター(黒)と
脂肪消費率グラフ
  
  これら運動や活動量を記録できる機器の発達はめざましく、最近では安価でより簡便かつ取り扱いやすいものが手に入るようになった。時計を兼ねたリスト型活動量計もさまざま市販され、スマートフォンと連動して簡単に記録を残すことが可能となっている。私が最初に使用したぶら下げ型の歩数計や活動量計(写真1)は歩数・移動距離はともかく、消費カロリーなどは実測値とは異なる体格指数からの換算値であり、到底納得できるものではなかった。やはり心拍データが必要と判断して脈拍モニター付きリスト型活動量計を購入した。これは運動時に機器と前腕皮膚との接触で脈拍計測するが、しばしば接触不良となり、心拍(脈拍)表示にアーチファクトや記録欠損がみられ、使い物にならない事がわかった。次に示指にプローブを巻いて脈拍モニターする医療機器メーカーの活動量計(写真2)をしばらく使用した。しかしその記録をみると(写真3)、運動中の定常状態でも脈拍が結構細かく、時に大きく変動していることから、記録の信頼性に多少疑問があった。

冬季の運動を考えてトレッドミルを購入


写真4:LifeFitness T5
    秋田から由利本荘に転居して最も当惑したのは運動する場所の問題であった。秋田では夜間フィットネスクラブへ通い、季節によらず一定の運動が可能だった。由利本荘ではそういった運動する適当な場所がない。しばらくはそれに代わる屋外ウォーキングを楽しんでいたが、冬季になると路上の状態やヒートショックの不安もあり、ウォーキングにでかける事ができず、“運動過少”状態となってしまった。やはり天候や季節にとらわれない屋内用トレッドミルが必要であった。意を決して昨年9月、家庭用トレッドミルを購入した(写真4)。これには付属品として胸壁バンドの心拍プローブがついており、現在は、これで心拍モニターをしながら運動している。

リスト型・示指型脈拍モニターと胸壁心拍モニター
写真5:胸壁バンドの心拍プローブと
リスト型活動量計POLAR m400併用に よる記録
 先の示指プローブ型の活動量計も同時につけて心拍数を比較してみた。するとやはりリスト型より示指プローブ型が優れるものの、示指で脈拍を拾い心拍数とするこのタイプでも胸壁バンド型プローブに比べると信頼性に欠ける事がわかった。胸壁バンドが示す心拍数はその変動を含めて体感とよく一致しており、これで相当正確な消費エネルギー・運動量が測定できていると思っている(写真5)。


記録し公開すること

リスト型活動量計POLAR m400

  記録を続ける作業は一見大変そうだが、スマホ経由でプローブから簡単にデータをPCに移すことができる。それに多少の後処理が必要となるものの、これは趣味の域で今まで一度も大変と思ったことはない。そして“体重計に乗るだけのダイエット”に通じる運動継続のモチベーションを上げる効果絶大である。ブログやフェイスブックへ公開すること、それは人目を意識して“良い”習慣を続けるヘルスプロモーションの有効手段であり、フェイスブックでは昔からの親友にいつも声援を送ってもらっている。

(本ブログの内容の相当部分は由利本荘医師会報2017年1月号に掲載しています)








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