2017年2月12日日曜日

■[IS-REC/BOOK]堀田秀吾著『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)を読む

●良かれとする自分の行動を科学的に裏付けてくれる本

仕事、遊びに関わらず多少無理をしても翌日に残らないような元気はとうの昔になくなった。一方で心身ともに少しでも若く元気にありたいと“アンチエイジング”を志し、ヒト(他人)には年齢以上、“元気旺盛で若い自分”に見せかけようと努力する。しかし、そのみせかけの自分と実際の自分を混同した思い込みは“認知バイアス”と言って、自分を過大評価した結果、却ってマイナス効果をもたらすという。限られた時間を有効に使うため、よかれと思うことを習慣化している。規則正しい生活と衣食住の管理、毎日の運動などなど。昨年秋からは気候によらずコンスタントな運動ができるようにトレッドミルを用意して早朝ランニングを毎日の日課としている。早朝のランニングとその後の入浴、食事・出勤と朝の時間は慌ただしい。しかしその日の職場での仕事のスタートはとても快適だ。今回手にとった堀田秀吾著『科学的に元気になる方法集めました』(文響社2017年2月刊)は、このような生活パターンの合理性を研究面で裏付けしてくれる本だ。日常自分のする行為・習慣が何ら意味をなさない自己満足にすぎないとしたら、それは悲劇であるがそういった不安をエビデンスに基づいて払拭してくれている。
●さらに心も体も元気になりたい時にヒントをくれる本
「笑顔を作る」ことでストレスが軽減するという。また笑顔でコミュニケーションすると、その相手との関係もうまくゆく場合が多い。私の苦手な“手足の動き”すなわち、多少大げさなジェスチャーも交えた対話はもっと良い効果をもたらす。背筋をピンと伸ばすこと、楽しいリズミカルな手足の動きは沈んだ気分をプラスに変える効果がある。なかなかおもしろい研究結果が紹介されている。
●今の自分を反省させてくれる本
優柔不断で仕事効率の悪い自分を変えるヒントも書かれている。“考えることより、まず行動”、仕事を始めるにはその段取りも大切だが、“やる気スイッチ”をオンにすることはもっと大切。そのために“行為として仕事にまず着手する”事が大切。同じような勧めは他のハウ・ツー本にもよく書かれているし、経験的にもまず取りかかってしまうと意外にスムーズに仕事が進むことから納得される。
●目標達成のノウハウ
小出しの目標設定で達成感を味わいながら仕事を進めること、ゴールを意識した仕事でその効率を挙げること、これらもさまざまハウ・ツー本に書かれている事だ。これを体験としてではなく研究成果として実証された方法として書かれていると、とても説得力がある。
●高齢・認知症患者さんに接する時役立ちそうなこと
スキンシップは、心の幸福度を上げるという。患者さんと接するとき、診察の手段としてスキンシップを応用することは特に認知症の患者さんでは経験的にも有効である。
●いいこと取りでいい本
毎日を楽しく送るには身体とやる気をうまくコントロールすること。著者はあとがきに心の問題にも触れることから、その科学的根拠にこだわる危うさにも一言触れている。そうだ、自分のやっていることに自信をつけてくれる“いいこと取りでいい本”なのだ。

2017年1月2日月曜日

[IS-REC/myLIFE] 『障害予防・ヘルスプロモーションから趣味へ』


  障害を持った方々を対象とするリハビリテーション科で長く仕事をしてきた。その関係でしばしば要介護の人たち相手に介護施設で健康講話をする機会があった。そんなとき彼らに向ける「健康寿命」と同じ意味合いの適当な言葉がなく苦労したことを思い出す。歳をとれば私自身を含めて、介護保険で他人のお世話にならなくとも多かれ少なかれ様々な余病や心身の不都合を持つのが当然だと思っている。医療にあまり明るくなければ医者に行って、そんな病気や障害も“治してもらえる”という幻想を持つ。施設での講話では“病気や障害と付き合い、今ある心身の不都合をそれ以上悪化させない、そのためにどうすれば良いか”という内容で話をしてきた。そして今もそういった内容で患者さん教育するのが私の仕事であり、私のライフワークだと思っている。

私のヘルスモーション

  さて最近では、職場でワークライフバランスが語られ、職場でのストレスチェックが義務化されるようになった。ストレスも当然、心身の不都合を悪化させる。患者さんに“病気や障害を悪化させないように”と説く以上、まず自らのワークライフバランスやストレスを考え、その対処法を考えて習慣化してゆく必要がある。そのような考えを元に、私自身もこれまで仕事を含めて、良しとする生活習慣を実践するように努めてきたつもりである。それは食生活や運動のみならず、衣食住の日常生活環境への配慮、悪しき習慣や誘惑を断つ“ヘルスプロモーション”の実践などを含んでいる。

ウォーキング、ジョッギングして記録に残す

写真1:活動量計OMRON WalkingStyle(上)、
HJA-403C(下)

  
  難しい理屈や理由づけはさておき、私の長年の趣味の一つは全くありふれた事であるが、健康維持に必要なウォーキングやジョッギングなどである。私なりにこのありふれた事が趣味の域まで到達していると思う理由は、ひとえに私の凝り性から来たものである。


運動は機器を使って、できる限り記録に留める

  運動は機器を使って、できる限り記録に留めるように工夫している。私の場合、機器の最初は万歩計(歩数計)、次いでランニングまで記録できる活動量計、さらに消費エネルギーや脂肪消費、心拍(脈拍)などを記録する機器を様々使ってきた。記録は定期的にブログに書いたり、最近ではフェイスブックに公開したりしている。

生活活動・運動を記録する機器のめざましい進歩




写真2:脈拍モニター付き
活動量計hr-70
写真3:hr-70による脈拍モニター(黒)と
脂肪消費率グラフ
  
  これら運動や活動量を記録できる機器の発達はめざましく、最近では安価でより簡便かつ取り扱いやすいものが手に入るようになった。時計を兼ねたリスト型活動量計もさまざま市販され、スマートフォンと連動して簡単に記録を残すことが可能となっている。私が最初に使用したぶら下げ型の歩数計や活動量計(写真1)は歩数・移動距離はともかく、消費カロリーなどは実測値とは異なる体格指数からの換算値であり、到底納得できるものではなかった。やはり心拍データが必要と判断して脈拍モニター付きリスト型活動量計を購入した。これは運動時に機器と前腕皮膚との接触で脈拍計測するが、しばしば接触不良となり、心拍(脈拍)表示にアーチファクトや記録欠損がみられ、使い物にならない事がわかった。次に示指にプローブを巻いて脈拍モニターする医療機器メーカーの活動量計(写真2)をしばらく使用した。しかしその記録をみると(写真3)、運動中の定常状態でも脈拍が結構細かく、時に大きく変動していることから、記録の信頼性に多少疑問があった。

冬季の運動を考えてトレッドミルを購入


写真4:LifeFitness T5
    秋田から由利本荘に転居して最も当惑したのは運動する場所の問題であった。秋田では夜間フィットネスクラブへ通い、季節によらず一定の運動が可能だった。由利本荘ではそういった運動する適当な場所がない。しばらくはそれに代わる屋外ウォーキングを楽しんでいたが、冬季になると路上の状態やヒートショックの不安もあり、ウォーキングにでかける事ができず、“運動過少”状態となってしまった。やはり天候や季節にとらわれない屋内用トレッドミルが必要であった。意を決して昨年9月、家庭用トレッドミルを購入した(写真4)。これには付属品として胸壁バンドの心拍プローブがついており、現在は、これで心拍モニターをしながら運動している。

リスト型・示指型脈拍モニターと胸壁心拍モニター
写真5:胸壁バンドの心拍プローブと
リスト型活動量計POLAR m400併用に よる記録
 先の示指プローブ型の活動量計も同時につけて心拍数を比較してみた。するとやはりリスト型より示指プローブ型が優れるものの、示指で脈拍を拾い心拍数とするこのタイプでも胸壁バンド型プローブに比べると信頼性に欠ける事がわかった。胸壁バンドが示す心拍数はその変動を含めて体感とよく一致しており、これで相当正確な消費エネルギー・運動量が測定できていると思っている(写真5)


記録し公開すること

リスト型活動量計POLAR m400

  記録を続ける作業は一見大変そうだが、スマホ経由でプローブから簡単にデータをPCに移すことができる。それに多少の後処理が必要となるものの、これは趣味の域で今まで一度も大変と思ったことはない。そして“体重計に乗るだけのダイエット”に通じる運動継続のモチベーションを上げる効果絶大である。ブログやフェイスブックへ公開すること、それは人目を意識して“良い”習慣を続けるヘルスプロモーションの有効手段であり、フェイスブックでは昔からの親友にいつも声援を送ってもらっている。

(本ブログの内容の相当部分は由利本荘医師会報2017年1月号に掲載しています)








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