2015年11月9日月曜日

[IS-REC/BOOK]高橋幸枝『小さなことの積み重ね』(マガジンハウス2015年9月 )~元気な超高齢者の生き方から学ぶこと~

独り暮らしする98歳の現役医師

本書の著者、高橋幸枝さんは、独り暮らしする98歳の現役医師(精神科)。私は以前から健康長寿やアンチ・エイジングに関心を持ってさまざま本を読んできた。

しかし私が知っている長寿やアンチ・エイジングの知識は、超高齢者で障害のため寝たきりで、多かれ少なかれ認知症も併発している患者さん、フレイルを診る上で余り役立ってはいない。

フレイルを如何に元の生活、あるいはそれに近い生活に戻すか、その多くは介護・ケアの問題ではある。と同時に、超高齢者の考え方、生き方を知ってリハビリに対する意欲・動機付けができれば多少なりとも機能回復が図れるのではないか、そんな仕事の悩みを解決したいという思いで本書を読んだ。

「たまたま丈夫で長生きしただけ、秘訣はない」

本書の著者は頭を明晰に保ち、記憶力を保つために、日常生活の中で様々な出来事を思い出すようにしている。また80歳で絵を描くことを覚え、その楽しみを知った。「新しいことを学ぶことは人生の視野を広げてくれる」 そのように述べる一方で、「たまたま長生きで、その秘訣はありません」とも書いている。

毎日、階段の上り下り、食事はいつも腹八分目、よく噛むこと

3階の部屋に住み、エレベーターなく毎日階段の上り下りをしている。80代で歯のインプラントをやり、好きなものをしっかり噛んで食べる。食物で必ず食べるものはなく、唯一決めているのは、食べすぎないこと。また80歳過ぎて晩酌を楽しみとするようになり、日本酒を冷やで1日150ccほど飲んでいる。

昔とあまり変わらない生活をする、毎日規則正しい生活をする

週一回の精神科外来担当を現役で続け、その生活パターンはずっと変わらない。設定43度とした熱いお風呂が好きで、部屋も「常夏の国」のようにしている。世間の常識にとらわれずあくまでもマイペースである。

92歳で骨折、どうしても家に帰りたいという執念

92歳の時、自宅内で転倒し大腿骨を骨折。接合術を受けてリハビリ。“筋肉は92歳のものではない(ほど若い)”という主治医の言葉が励ましになった。骨折後も家をバリアフリーとせず、自分が十分注意することが肝心だという。

体の衰え、人とのコミュニケーション


体の衰えを自覚するが、「まだまだやればできる」と思うことが大切で、独り暮らしで必要に迫られれば98歳でもなんでもやるという。また、「頑張りすぎはいけないが、億劫で誰かに頼もうと、いったん他に依存してしまうとキリなく自分が崩れていく」 とも述べる。同世代が身近におらず、人と話すのは億劫だが、心の健康のために日々誰かと話すことを心がけ、どうしても話すのが億劫だったら何かを書くことにしている。

“脆弱老人、フレイル”にかける言葉とアクションは?


私の場合、患者が入院してくると、意欲やうつに関するスケールでテストする。多くの患者は前向きに返答するが、その病前生活自体が家に閉じこもりがちで、家庭内の役割もなくなり、生きがいを失ってみえることが多い。その彼らにかける言葉と依頼するリハビリ内容を吟味しながら治療を開始する。
本書を読んで、そのような時に共通して役立つ“何か”は必ずしも得られなかった。

病気・怪我の治療を終えて“リハビリ依頼”でやってくる患者すべてにトコロテン式にリハビリは強要できない。言葉一つで意欲や動機付けに成功するはずもない。体や心の衰えは人それぞれ。しかし判断力が保たれる限り、他人に迷惑かけない最期を迎えるため、自身の身の始末、心や身の回りの整理整頓ができるように今一度頑張ってもらおう、また時間の許す範囲で良い話し相手(主に聞き手)となってあげよう、本書から私へのメッセージはそんな辺りだろうか?

2015年11月7日土曜日

[IS-REC/BOOK]熊谷 徹 『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』(青春出版社2015年8月)を読んで考えた

医療現場・医療職のワークライフバランス

ここ数年、医療の職場でもワークライフバランスを考える管理職研修や職員研修が多い。仕事の性質上、勤務時間に関わらず患者さんの状況次第で終日病院に詰めているのが当たり前のように何となく思い込んで仕事をしてきた。

自分がそういった行動を取るのはまだしも、管理職や上司として他の者にそれを強制するような思いもあった。しかしこのワークライフバランスが医療の現場にも普及して他のスタッフへ何気なく時間外の仕事・業務を強制してしまうことは勿論あってはならないし、自分にあっても仕事と私生活を割り切って考えるようになった。それでも、気になることがあれば仕事優先でつい最近まで家族に迷惑をかけることが多かった。

退職して職場が変わって

同じ医療の現場にあっても、歳を重ねた老齢医師の多い今の職場はさらにこのワークライフバランスを割り切って実践しないと、到底やってゆけない。高齢・重症者の多い病棟もあって、受け持つ患者は毎日のように最後の看取りが必要となる。また容易に合併症を起こして重症化する。こういった状態に担当医がつきっきりで対応したら、とてもやってゆけなことはわかっている。そして医師は皆すっかり割り切って時間内の仕事にのみ専念し対応している。最近は私自身もそれで良いのだと思うようになった。

本書『ドイツ人はなぜ・・・』で知った日本とドイツの違い

欧州、特に私の知るドイツやスェーデンで生活すると、本書に強調されているように、企業で働く彼の地のサラリーマンはしっかり有給休暇を取る。医療の現場でもそれは徹底していて日本では考えられないような長期休暇を取っている。

本書では医療現場については全く触れていないが、ドイツのさまざまな生産現場や企業で働く労働者が有給休暇を当然の権利として消化している一方、仕事はそれなり十分回って、ドイツ経済は黒字続きの絶好調であることをことを述べている。日本人の勤勉さと日本経済の現状からその違いは何なのか?日本の労働者もドイツ同様のワークライフバランスを徹底して経済を維持・発展することが可能なのか?そういったドイツの現状の謎解きをしながら、日本の今後のあるべき姿を提案している。

ドイツの労働生産性は日本の1.5倍、その背景に「社会的市場経済」あり

ドイツもさまざまな試行錯誤を繰り返しながら、国の政策として労働者の権利を保護する政策が取られてきた。労働者の生活の安定と秩序の維持に、労働者もまたさまざまな形で経営に参加する仕組みを作り、結果的に個々の労働者自身の生産性も向上しているという。

税金や社会保険料でドイツ国民の可処分所得は少ない

スェーデンほどではないにせよ、ドイツ国民も手厚い社会保障や労働者の権利保護のため、税金や社会保険料は日本より高く、そのため彼らのサラリーのうち、可処分所得は相対的に少ない。一方でその貧困率は日本よりずっと低い。この結果でもあるが、いわゆるサービス業でのサービスに対する考え方の落差が日本とドイツでは相当違いがある。

週末には商店街がすっかり閉じ、またホテルやストアを利用したときの接客態度の悪さは日本でのそれと比較してあまりにひどい。細かいサービスよりコストの安い方が理に適っているのだ。

日本もドイツのいいとこ取りを!!

GDP至上の考えがそれとなく著者にはあるようで、それには賛成しかねる。

しかし高学歴の移民を以前から多数受け入れ、最近は労働力としての移民も多く受け入れるようになったドイツの積極的姿勢は同じ少子高齢化の問題を抱え、また経済が傾いてワークライフバランスを考えるゆとりもないように見える日本も見習ってしかるべきだろう。著者の言う、このドイツのいいとこ取りは、日本でもっと進めなくてはならない。

2015年11月1日日曜日

[IS-REC/myLIFE] 2015年10月 私の運動記録:新しい環境で新たな生活習慣構築中です

運動継続のモチベーションを高めるため、機器更新しました

秋田市からさらにローカルな小都市に引っ越して私の生活習慣はすっかり変わってしまった。毎日帰宅後に通った午後11時まで利用できるフィットネスクラブなどというしゃれた施設もここにはない。唯一、市営温水プール「遊泳館」が安価に利用できるので、当初はここで連日水中ウォーキングIMG_0767をしていた。しかし、これだけでは運動不足となるし、水中ウォーキングの運動記録を客観的に残せないのも寂しい。

iPhoneのRuntasticを利用

そこで夜間のウォーキングに出かけるこことした。iPhoneアプリ(Runtastic)はそのGPS機能を利用して歩行ルートをマップに図示してくれる。これは毎晩ウォーキングするモチベーションを大いに挙げてくれるのでグッド。距離や運動時間、facebookと簡単に連携するのも楽しい。

「運動と健康の月間記録」を保存

運動した結果は従来のように月単位で残したいのだが、なかなか良い方法がない。この目的でオムロンの体組成計(HBF-254C)と活動量計(HJA-403C)を導入した。また、実際の運動中の心拍モニター(ニッセイ、HR-70)も購入した。心拍データは別だが、体組成と活動量の測定結果はオムロンのWM(「私ムーヴ」)というWEB上に保存できる。ここでは継時的数値表示やグラフ表示もしてくれる。これはこれで楽しいのだが、一人でその結果を眺めニンマリしているのもやはり寂しい。

そこでこのデータを加工して簡単に一覧性良いグラフ作成を考えた。これがなかなか難しかった。しかし最近仕事でデータ加工の結果を表現力のあるグラフに加工する必要が生じた。そこでDeltaGraph7.0Jをしっかり勉強しなおすきっかけに「運動と健康の月間記録」の複合グラフを作成してみた。

一度こういったグラフを作ると、そのテンプレートを使うことで次回から比較的簡単に同様のグラフが作れそうだ。以下はその結果である。

201510健康と運動記録

体重と体組成(体脂肪率と骨格筋率、BMI)、毎日の総消費カロリーと活動カロリー、総歩数と運動歩数、歩行距離と脂肪燃焼量などが記録として一覧できるグラフとなっている。それにしてもこんなことばかりしていて、我ながらよっぽどの「健康オタク」のようだ。まったくおかしくて苦笑いしてしまう。

しかし何をするにも楽しくやるにはこういった小細工が必要なんだろう。まずは良しとして、また明日から運動と読書、そして仕事に精を出していこう。

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