2021年9月2日木曜日

[IS-REC/ISSUES]秋田県の無料広報雑誌「楽園」NO.65(令和3年6月1日)号掲載

 秋田県の無料広報雑誌「楽園」(平成22年~)は、中高年向けの健康記事を掲載しています。冊子は、 県内(銀行、図書館、宿泊施設、協力医療施設)および県外のアンテナショ ツプに設置されています。本稿はその65号(令和3年6月1日号)に掲載されたものです。

『養生のヒント  ~あなたは、“元気老人?”それとも“フレイル?”』


○リハビリ病院の患者さん達

        入院リハビリを受ける、それは日常生活が困難となる何らかの原因があって、急性期治療後も家に帰ることが出来ず、生活機能の回復を図る入院です。入院理由は要介護・寝たきり原因とほぼ共通。その主な原因は、認知症・脳血管疾患・高齢による衰弱・転倒後の骨折などが挙がっています(厚労省2019)。リハビリ入院はその中でも良くなると期待されるケースなので、認知症患者は除外されます。

○リハビリ入院患者に、“元気老人”はいない!

    
        リハビリ入院患者は、“アラエイティー(80歳前後)”で、フレイル、すなわちヤセで低栄養・筋量低下(サルコペニア)・活動量低下、が共通しています。フレイルでは握力が落ち、両下腿が細くなり、低栄養状態で、意欲・体力なく、栄養の改善を図らないとリハビリ実施は困難です。

○フレイルだから要介護や寝たきりとなる!

        一般にフレイルは老化に伴う心身機能低下と考えがちですが、老化の必須プロセスではありません。事実、私たちの身の回りには高齢でもたくさんの“元気老人”がいます。一方、徐々に食が細くなり痩せてきた、外出しなくなった、外出時には信号機のある横断歩道を渡り切れなくなった、などの症状があればフレイルの可能性が高くなります。フレイルになると簡単に骨折する、食事の偏りや低栄養、脱水から脳卒中・心筋梗塞などに罹患する、また認知症を発症する、などの可能性が高くなります。


○フレイルを予防して健康寿命を伸ばそう!

        寿命自体の調整は困難です。しかし細胞や遺伝子レベルで寿命制御機構が発見され、
実験動物から人の長寿化の試みが現実化しつつあります。他方、老化はプロセスであり個体差が大きく、個人の生活習慣に大きく左右されます。老化に抗して健康寿命を延ばしフレイルを予防するには日常の栄養が最も大切。高齢になるほど淡白で粗食を好み、また生活時間が不規則、食事も朝昼兼用、夕食が夜食となる、などのケースがみられます。三食をきっちりとる、魚肉・鶏肉など、蛋白質を多く食べ、副食多く主食は特に夕方に少なめとする、これが基本です。また自分の歯を残すように定期歯科健診を受け咀嚼力、口腔・嚥下機能を維持してオーラルフレイルを予防します。身体運動能力の維持・改善には毎日の運動が必要。朝のラジオ体操、また仲間と一緒に出来る運動などが良いでしょう。ウォーキングは速歩で息がはずみ汗をかく程度の負荷で行います。社会参加の面では、可能な限り就労を続けます。そうでない場合にはボランティア活動、友人とのおしゃべり・会食、または観劇などの文化活動も望ましいことです。これらの点に心がけるのはもちろん大切ですが、生活習慣病で治療を受けている方はかかりつけ医の投薬と指導で治療を中断しないようにしましょう。老化というプロセスからフレイル、サルコペニア、そして認知症を予防して要介護状態に陥らずに、いつまでも元気老人でい続けられるかどうかはあなたにかかっているのです。

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