岸本葉子著『ブータンしあわせ旅ノート』が2012年春改題出版
1999年出版の旅行記改題だから、岸本さんの旅行から 私の旅行まで10年一昔の歳月が経っている。この度の出版で著者はそのあとがきで、「変わるもの、変わらないもの」と題し、この間の時代変化、当時のしあわせ一杯旅ノートが描いた『幸せの国、ブータン』の有り様を批判的に語っている。岸本さんの旅ノートに描かれたブータン~敬愛される国王、厚い国民全体の宗教心、大家族でつましく生活しながら当然のしあわせを享受する人々~
本書で触れられるブータンはすでに10数年前のこと。しかし一昨年私自身が旅行で垣間見たブータンの国情・旅行事情、現地の人々の生活に大きく変わった印象はない。東日本大震災の地を昨年ワンチュク国王夫妻が新婚旅行先に選んで来日して以降、日本でもすっかりブータン”ブーム”が起った。そして現在のブータン国情についても再三テレビなどで放映され、近代化の波が押し寄せ、その国情や国民生活が大きく変わろうとしていると報じられた。携帯電話やテレビ・インターネット普及など、国民の消費生活を含む生活文化も確かに大きく変わりつつあるのだろう。しかし岸本さんが訪れ、私が旅行した10数年の間でも良い伝統や生活文化は変わらず続いてきたのもと確信する。国外から押し寄せる消費文化を批判的に受け止める教育水準や厚い宗教心、狭い山岳国家、農業主体の大家族母系社会、立憲王制国家に移行しても厚い国王への信頼と宗教と政治が上手に一体化した国家体制、これらの要素が一体となって小国ながら強い独自性と文化国家としての矜持を持ち続けている。国民一人一人の生活レベルは現在も決して高くはない。しかしこの国を訪れる異邦人に対して決して笑顔を絶やさない彼らは自分の国に誇りを持ち、その生活に自信を持っていることは間違いない。「ブータンは今でも幸せの国でした」が私の印象
この本を読んで、私のブータン駆け足旅行に欠けていたブータン国民の生活事情がしっかり呑み込めた。そして私が垣間見たブータンは今でも間違いなく「幸せの国」。健康もお金も時間も必要!! だが、ますますブータン再訪を期する気持ちが高まった次第。今度は余裕持って東ブータンを訪れ、またそのトレッキングに挑んでみたい。
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