リハビリ健診
“リハビリ健診”として、年に1度、近くのショートステイとデイ・ケアを扱う介護老健施設利用者を対象に健診を行っている。その動作能力と認知機能を診ているが、在宅一人暮らしのデイ・ケア利用者を除いて、対象者の認知症割合が高いのには驚かされる。
厚労省資料によると、認知症を伴う施設入所者は高率に寝たきりとなっている。幸い、健診先施設スタッフの懸命な努力で長谷川式検査低得点で明らかに認知症があっても、記憶・記銘力低下が主体で、会話はしっかりしている。そういった方の中には“新聞読んでますか?”の問いかけに、「知人が亡くなっていないか、死亡広告をよくみています」と答えて社会性が失われていない方もいらっしゃる。これらの施設では認知症があっても意外に寝たきりや問題行動は目立たない。しかし経年的検査で動作能力・認知能力ともに徐々に低下してきており、その対策の必要性を痛感する。
「わたし」の人生~我が命のタンゴ~
永年親しんできた、秋田シアタープレイタウンが閉館するので興業最後となる映画を観てきた。標題の映画では、精神科医・和田秀樹が監督で前頭側頭型認知症家族の苦悩を扱っている。セクハラを頻繁に起こす英文学者で元・大学教授の父親役を橋爪 功が、主人公で娘役を秋吉久美子が演じ、好演技をみせている。注目は認知症の父が利用する施設の医師役が脇役ながらすばらしかった。
しかし現実にこういった家族のサポート・アドバイスをゆとりを持って出来る施設の医師はそんなにいるはずもない。また多くの認知症入所者を抱える施設にしては施設環境も職員もすばらしく、現実とかけ離れた印象であった。
たまたま同じ日の夜半、以前読んだ本で感銘深かった本の朗読劇がラジオで放送された。やはり高齢者・認知症を扱う施設職員を主人公とする作品である。
山田太一原作『空也上人がいた』のFMシアター再放送である。ここでは全介助で認知症のお年寄りを扱う若い職員の苦悩が描かれる。私にとってはこちらの方がずっと現実味があり、またこういった苦悩と共に一緒に歩む空也上人の存在をひとつの心の拠り所として求めることを知った喜びがあった。
リハビリテーション施設も生活型施設である老健施設も対象者は高齢化し、その認知症が問題となっている。認知症にいくつかの病型があり、中でも脱抑制による問題行動が家族を苦しめる、“前頭側頭型認知症”についてもこの映画をはじめとして様々紹介されるようになった。病型を知る事により適切な対処法もあるが、一般に認知症患者や家族の苦悩は計り知れない。この映画の結びとなるような、ある種のハッピーエンドがすべての認知症家族に期待出来れば良いのだが・・・・
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