今朝も新聞広告に、“51万部突破“、”全国書店で続々第一位”などと本書を宣伝する記事が大きく掲載されている。
センセーショナルなタイトルで目を引くが、ほかの同業者の批判を多少なりともかわす意図があるのか、副題には、「医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法」と書かれている。
“47の心得”には、確かに頷けるものも多いが・・・・
第一章「どんな時に病院へ行くべきか」には、最近流行の“未病”をホンモノとしないための、「とりあえず病院へ」を「医者の“おいしい”お客様」として、受診そのものを戒めている。老化に伴って起こりえる様々な身体不調、病院に行けばたくさんの精密検査を受けさせられ、もっともらしい病名を付けられる。そしてたくさんの薬を処方されれば皆何となく満足し、納得して帰る。これがどこでも誰でもどんな病院でも受診できる皆保険制度下の日本というのである。生活習慣病のマーカーである、血圧・血糖・コレステロール、その異常値の決め方に問題あり、その治療はかえって副作用による様々な問題を引き起こす。ガンの早期発見も誤診多く、早期発見されても決してラッキーではない。著者の主張の背景には、一般の医者という“同業者不信”もある。しかし、それ以上に日本人一般にありがちな体の不調や病気を疑うと、“先ず病院へ”という医者や病院に対する過度の信頼、あるいは自分の体でありながら、医者や病院への過度のお任せ主義を戒めている。
生活習慣病罹病者の“三次予防”担当医として
第二章以後も、「患者よ、病気と闘うな」、「検診・治療の真っ赤なウソ」とけたたましいタイトルが続く。その後の元気に生きる「食」の心得、「暮らし」の心得には、従来の「食と暮らしの健康法」に照らして一見、相(あい)反することが書かれている。しかし、確かにいい加減なサプリが全く無効であることなど、著者の主張に賛成する点も多い。また特に最近、看護や介護で強調される、「手当て」(医療者のスキン・シップ、スキン・タッチ)の有効性は私自身も感じており、大いに賛成したい。しかし脂血異常や高血圧の降圧治療は一概に否定されるべきものではなく、また免疫力(病気に対する体の抵抗力や健康体力)を高めるさまざまな工夫をすべて一緒くたにして「医者のガン詐欺」としてしまうのはあまりに乱暴すぎる。本書が未病を防ぎ、病気や障害の悪化を防ぐ治療行為の必要性すべてを否定してしまう誤解を読者に与えかねないことを危惧する。特に脳卒中や心筋梗塞などに罹患した既往のある方は、血圧や体重のコントロール(肥満予防)、血糖・脂血異常のコントロールが再発や障害悪化の面から欠かせない。やはり何でも相談出来、信頼できる“かかりつけ医”を持つことも大切な長生きのコツと心得て欲しい。
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