“減災”目的ながら、大規模災害を想定した日本沈没のCGが公共放送で頻繁に流され、今にも国土全体が沈みかねない恐怖と悪夢が多くの国民の脳裏に染み込んできている。
そしてつい先頃、国立社会保障・人口問題医研究所から公表された今後30年間の日本地域別将来推計人口のデータもその深刻さを改めて浮き彫りにした。
子や孫、次世代・次々世代に残す“しあわせ”な国を求めて
私自身も実際目の当たりにしてきた、“国民総幸福”を実践しているブータン。『ブータンしあわせ旅ノート』でも紹介したが、その国民の厚い信仰心、国王を慕う立憲君主制の国柄、輪廻転生を信じ、生あるものすべて大切にする国民性、・・・・これら国民の精神性はチベット系のブータン仏教をもとに、その歴史背景や地理的条件と深く関わっており、現在の日本やそのほかの先進国とは大きくかけ離れ、これはまさに別種のユートピアであろう。福祉先進国、スウェーデンは“人を見捨てない国”
三瓶恵子さんの書かれた本書は岩波ジュニア新書に入った一冊。青少年向け図書としてつい先頃出版された。著者は日本から現地ウプサラ大学留学後、当地で結婚、1981年からスウェーデンに30年以上在住している。本書の「はじめに」では、スウェーデンが教育制度や家庭生活のスタートとなる結婚制度、そして社会に出てからの職業も「一発勝負の国ではない」ことを強調する。「就活」も「婚活」もない。まさに日本に住む我々には想像しがたい現実である。その後の各章では、こういった日本の現実とあまりに違うある種の理想郷がどう実現されているかをスウェーデンの普通家庭で生活する身近な若者達にインダビューする形で紹介している。国民の高負担で成り立つ大きな政府によるセーフティーネット充実。その人を見捨てる事のない国のしくみを利用できる一員として、家庭の中にあっても、その青少年の早い時期から精神面と経済面での自立が教育されている。男女とも社会で働くのが当然で“専業主婦”のない国、結婚形態は多様であり、従って家族構成も様々。男女の結びつきはあくまで愛情第一で決まり、離婚しても児童福祉制度の充実で子育ての心配も少ない。こういった社会のあり方の結果として、女性の合計特殊出生率は1.9以上である。
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