2012/04/01~2013/03/31退院315名の疾患群別内訳まとめです
APCRP(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター)に2012年度入院(2012/04/01~2013/03/31間に退院した対象患者)の疾患群別患者数の内訳をまとめました(上棒グラフ、および円グラフ)。
“疾患群”とは、日本リハビリテーション医学会研修対象施設実態把握のため、便宜的に設けられたリハビリ対象疾患グループです。学会の認定臨床医や専門医取得にはこの疾患群で分類されるすべての疾患を経験する必要があります。しかし各医療施設レベルでも対象世代・疾患の専門分化・高度化が著しい現在、一施設ですべての疾患群を経験するのは不可能です。そこで新しい専門医取得の研修は地域ブロック単位でローテーションを組んで行う方向で現在調整中です。
センターを特徴づける脳卒中リハビリ入院
2012年対象者内訳で最も多いのは疾患群Ⅰ(脳卒中および脳疾患、65%)。中でも開設時から患者さんの多くを占める脳卒中リハビリ入院のケースです。2012年は、脳卒中186名。その内訳は、脳梗塞98、脳出血76、クモ膜下出血10、血管炎2でした(下棒グラフ)。脳卒中以外では頭部外傷や脳腫瘍、蘇生後脳症などが挙がります。
センターの特徴としてパーキンソン病や脊髄小脳変性症など、神経筋疾患(疾患群Ⅴ)も多く、これらのケースでは、運動療法と薬物療法併用での機能改善、障害が進行して嚥下や栄養、呼吸、様々な補助具利用とその調整で入院することが多いようです。
リハ対象の“疾患群”に当てはまらない廃用症候群が年毎に増加
リハビリに限らず研修途上の医師が経験したいと考える疾患や障害は、その典型例。その疾患や障害以外の複雑な背景、合併疾患をもたないケースでしょう。しかしリハビリの現場では、社会の少子高齢化や貧困化をそのまま反映した患者さんがどんどん入院してきます。上棒グラフに示すように脳卒中など、疾患群Ⅰに次いで多いのが、“廃用症候群”です。既存障害の悪化、内科・外科疾患入院後の機能低下などで在宅生活が困難なケース、嚥下障害による栄養障害進行など、さまざまな原因による“廃用症候群”患者が入院してきます。この“廃用症候群”は、年々確実に増加しています。2012年度も55名(17.4%) が入院しました。
ますます、「ケア・ミックス」が必要
国は社会保障の一体改革を具体化するため、「地域医療・介護確保法案」を上程する準備を進めています。これは識者が指摘するように、もっぱら医療・介護のコスト削減がその目的で、われわれ医療者は十分注意して見守る必要があります。
とは言うものの、過疎や高齢化著しい地域にあって、社会実態に則した医療・介護に関わる人的・物的ソースを有効利用するには、やはり「ケア・ミックス」の視点が欠かせないようです。2012年度のリハビリ入院実績もこのことを示しているようです。
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