2014年1月25日土曜日

[Med-REHA] 雪下ろし事故にコメントを求められて

高齢者に圧倒的に多い頚損事故外傷関連入院

   今冬、秋田県内積雪は地域でその積雪量に大きな差のあることが特徴だろう。特に県南の積雪は例年以上で、このため屋根の雪下ろしに伴う死亡や重傷を負うケースの事故報告は絶えない。

  地元紙、“秋田魁新報”はこの雪下ろしに伴う事故について様々な報道やキャンペーンに取り組んでいる。最近、事故に関した2度の取材を受けた。電話取材と直接取材で、それぞれ小生のコメントの一部が引用された。取材を受けて強調した点は、

  1. 加齢に伴って、若い時分に比較して体力や運動機能が急激に衰えること、
  2. 衰えの程度に運動習慣の有無などで、個人差が大きいこと、
  3. 体力のうちでもその内容に一定の傾向があり、握力や背筋力、全身反応時間などに比べて、立位体前屈や平衡感覚・バランス能力低下が著しい事。立位体前屈程度は、身体柔軟性として表れる筋弾力性や関節可動域変化によって確認され、平衡感覚やバランス能力は閉眼片足立ち時間や重心動揺面積測定なとで示される。

特に動的バランス能力低下は加齢で著しい

  冒頭グラフは、過去5年間に我々のリハセンターで入院治療を受けた外傷事故関連による脊損や頭部外傷患者実数の推移を示している。センターの特殊性や立地位置などのバイアスを含むが、頭部外傷や頚損、すなわち首から上の受傷入院は圧倒的に高齢となるほど増加しているのがわかる。対照として提示している骨盤・腰椎部外傷はあまり世代差なく、その事例をみると、意図的な飛び下りや交通外傷によるもののようだ。冬季は、雪下ろし、年間を通じては屋内外での転倒が多い。雪下ろし事故と通ずるが、転倒事故で多い原因は、(酔って)自転車を運転し、自転車ごと転倒して頚損となるケースが多いこと。これは加齢によって低下する運動能力のうち、特に動的バランス能力低下が最も関係している。記事リポーターが強調するように、歳をとっても若いころと同じように体が動ごいていると錯覚する、“年齢と運動能力のイメージギャップ”が雪下ろし事故原因の背景にあることは間違いないだろう。交通激しい横断歩道を渡り切れるかどうかを判定する、秋田発の能力評価器械、“渡り上手君”の検査でも同じような結果が出ている。

高所作業など、歳をとったら行わないことに限る

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