2013年1月3日木曜日

[IS-REC] 本田健著「60代にしておきたい17のこと」を60代の私が読んで感ずること




    本屋に行くと、新書版コーナーにハウ・ツー本があふれている。齢を重ねて還暦を過ぎても自分の生き方に納得して自信を持っている人間などそうそういるものではない。物事を知るにつけ、自分の無知に暗然たる思いに駆られ、今後の限られた時間をどう使うか、健康で体力と知力が続き、意欲のある間に何をなすべきか悩むのが凡人の常と思われる。
    もっとも社会・経済状況厳しく、明日の生活の糧をどうするかで精一杯の同世代も多い故、こういった悩みは贅沢なのかも知れない。

タイトルの魅力

    さて、本のタイトルは著者のシリーズものであり、特段工夫されたものではないだろうが、煩悩多き60代の普通人には魅力的タイトルに映る。手に取り購入した数冊の本の中で一番最初に読んだ。著者の挙げる17のことには自分が既に実践していること、これからやろうとしていたことなど、共感するところが確かに多い。一方まだ60代の気構えが足りないのか、あるいは仕事が現役のせいか、「9.親の死んだ年齢を数えない」とか、「14.子どもの人生に・・」、「15.男、女であること・・」、「16.未来に投資する」、「17.愛を伝える」など、まったく考えも及ばなかった項も多い。そして、その中にはそれなり納得する所もあり、この17項目で自分の60代にしておくべき事柄を整理することも確かに可能だろう。

物足りなさ残る読後感は何から・・・


    しかしこの本の読後感としてはどうしてもある種物足りなさを感じてしまう。人生80年時代でも60過ぎの普通人が出来ることは時間的にも社会経済状況からも限られており、可能ならば網羅的、羅列的ではなく課題に優先順位がつけられる何らかの思想性、一生を貫くミッションのようなものがほしかった。最近、自分の生き方、あるべき姿、平たくいえば「毎日の過ごし方」を考えるために仏教哲学に興味を持ち関連の書籍を読むことも多くなった。

残る人生をどう生きるかと結びつけて

    世界の人口の16%(11億人)は無宗教だという。死を考えるためではなくどう生きるかのために自分にも宗教性が必要と痛感している。本田氏の書かれた本書は60代の人間がなすべきことを網羅したが、後味の残らない無味無臭の本となっているのが残念だ。



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