左麻痺と劣位症状を後遺して在宅ケア開始したが・・・
HKさんは6年前までタクシー運転手。ある日、歩行障害に気付かれ症状進行、急性期病院でアテローマ血栓性内頸動脈閉塞による皮質域含む右半球脳梗塞の診断であった。
急性期治療後、我々のセンターに紹介。昼夜逆転・失見当加わり、約3ヶ月のリハビリ入院で在宅ケア準備を行い、歩行不能、介助での車椅子レベルで自宅退院した。麻痺と失見当、注意障害や落ち着きのなさ、など劣位症状、麻痺下肢痛など、訴え多く、自宅介護する妻の苦労は相当であったようだ。しかし、その後外来に定期的にやってくる本人や家族(妻)は意外に明るかった。妻は病院での訓練と指導で多少なりとも本人が意欲的に対応する様子をみること、主治医にそれなり状況を聴いてもらえる、そして何よりHKさん本人が病院のレストランで焼き肉定食を食べるのを楽しみに、積極的に受診していたこともその理由だったらしい。
キーパーソンの妻倒れ・・・
しかし3年前、キーパーソンの妻が病に倒れ、ショートステイを利用しながら長男・次男が交互にケアを担当するようになり状況は激変した。週日のステイ利用で本人の口数が少なくなり、食事の影響か体重減少も目立つようになった。元々大柄であったHKさんだったが、体躯は一回り小さくなり車椅子の姿勢障害も目立つようになった。月1~2度程度の外来受診と指導ではどうにもならないことだったが・・・
微熱が続き・・・
先回受診から正月を挟み来院したHKさんは、さらに焦燥し微熱あり、採血検査では炎症反応強陽性、栄養障害と消耗による貧血が認められた。胸部レ線で気管支陰影が増強して誤嚥性慢性気管支炎の所見であった。外来で抗生剤点滴静注と脱水に対して補液を実施したが、誰しも治癒(Cure)はし難いと判断される状況であった。
キュアからケアへ
家族介護が限界を超え,施設利用でも手に余る状況。思わず社会制度改革国民会議での副総理の発言(麻生失言に賛否 終末期医療への言及メディアは否定的だけど… - 政治・社会 - ZAKZAK:)が脳裏を過ぎるが、夫婦愛故にケアに熱心だったHKさん奥さんの顔を思い出すと頭の中は真っ白で次になすべき事が思い浮かばない。しかしやはり冷静に考えるとキュアからケアへのパラダイムチェンジ(http://amzn.to/10KRJCn)が必要である。
HKさんの快復力に掛けることとして、施設宛てに現在の身体状況を記して帰院していただく事とした。
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