2013年1月19日土曜日

[IS-REC] 江部康二著『糖質オフ!健康法』を読む

●大櫛先生の本に勧められ・・・

   糖質制限食について、大櫛陽一著『間違っていた糖尿病治療』に触発され、以前関連する著書を読んだことのある、江部康二先生の本を再び読んだ。彼の近著が表題の文庫本である。その内容は読む前から十分想像されたが、今回この本で強調されているポイントはその副題にある、「主食を抜けば生活習慣病は防げる!」ですべて語られている。その説明内容は経験的であるだけでなく科学的でもあり説得力がある。特に私の関心ある運動・スポーツと栄養の面で、大櫛先生同様にスポーツ栄養で推奨されている糖質負荷の弊害面がこの本でも強調されている。

●血糖値上げるのは糖質だけ

人類は元来糖質オフの食生活であったこと、炭水化物(穀物)が人類の食生活に利用されるようになった歴史は極く浅いことがまず背景として語られる。そして血糖値上昇の栄養素はこの炭水化物に含まれる糖質のみであることを、再三強調している。


●血糖上昇が何故身体に悪いのか?

江部先生、「人の体は穀物中心の食生活に適応していない!!」そして、「過剰糖質は万病のもと!!」と断言する。過剰糖質はインスリンにより脂肪となって肝や筋肉、内臓に蓄積される、反復する高血糖(グルコーススパイク)により動脈硬化の引き金である血管内皮障害が生じる、と説明(その通り!!)。江部先生自身が和食中心のヘルシー食生活をしていて糖尿病となってしまったと経験的に語り、糖質中心となる和食の弊害を説いている。そして糖質オフを実践して高血糖改善、良好な血糖コントロールに戻ったというのだ。

●脂質悪玉は間違い、グルコーススパイクによる血管炎がなければ高脂質でも動脈硬化は起こらない!!

著者は「糖質オフで脂肪が燃えやすい体となる」とも主張。そして大櫛先生も文献引用しながら説明しているように、脂質異常の是正が生活習慣病との関係で強調されるのはどうも製薬メーカーが関わった利益相反に原因があると批判している。肥満や動脈硬化の原因、高血糖による老化物質AGEsの蓄積、すべて糖質摂取が元凶というのは各種の傍証からも説得力がある。


●糖質制限でケトン体を使える体になる

    糖質制限で脂質を利用できる代謝系が活発となり、ケトン体を使える体となる。脳は主に糖質をエネルギーとして利用しているが、これが唯一のエネルギーという説明は誤り!! 糖質欠乏状態ではケトン体も十分エネルギー源となる。赤血球は唯一糖質エネルギーが必要。これは肝臓の糖新生で十分まかなわれる(という)。

●糖質制限食の合理性

以上、糖質制限食の合理性は大櫛先生や江部先生の説明で信頼足りるものと思ってしまう次第。私自身、これで糖質制限食信者になりつつある。

 

●糖質制限食批判

しかし糖質制限には糖尿病学会や臨床栄養学会が警告を発している(但しそのトーンを強くは感じられない)。従って糖質制限について、単なる信奉者ではなく科学性に裏付けられた確信に至るにはやはり「臨床栄養や生化学の基礎的勉強が欠かせない」というのがこれらの本を読んだ私の率直な結論である。

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