2013年1月3日木曜日

[IS-REC] 佐藤優著「読書の技法」は「勉強の技法」




      「週刊東洋経済」連載、佐藤優の「知の技法・出世の作法」はいつも読み応えがある内容で、そのためだけにこの週刊誌を手に取り購入することも多い。
    本書「読書の技法」は昨年8月に第一版が出て以来、短期間にベストセラーの一冊となっているらしい。しかし本書を読み始め、難しげで明らかに自分の関心事とはかけ離れた多数の本の引用あり、小生すぐに拒否反応を起こしてしまった。挿し絵にある彼の書棚や書斎の写真も元々住む世界の違う天才肌の人間を映したにすぎない嫌らしさを感じた。

にもかかわらず読み進む

にもかかわらず、結果的にはまさにこの本で示される読書法を無意識に実践して目次やあとがきに目を通した。そして改めて身を構えなおし最初の部分、すなわち彼の生い立ちから現在の多読と速読の方を体得するに至る部分を読んだ。
    内容的には第一に、速読・超速読はなんといっても背景となる基礎知識の有無がその前提であるという当然至極の理が示される。第二に、速読・超速読は後で参照する必要が生じたときのインデックス作りであることと断っている。第三に、読書により自分が消化して自分の言葉や知識に血肉化するには時間をかけ、熟読し、メモノートを作る作業をしてはじめて可能となること(しかもその数ヶ月後に!!)と述べている。
    これらの記述は体験的に書かれ、非常に説得力がある。勿論単なるハウ・ツー本でないことは確かだ。
    小生に最も役立ったのは本のタイトルにある「読書の技法」ではない。「大人のための勉強技法」である。基礎知識、自分に不足する基礎学力をつけるために高校までの教科書やその参考書がベストという指摘、その内容を具体的に例証した記述もとても参考となった。
    確かにわからないところがあれば辞書を引くように、中学・高校の学生向け教科書や参考書に戻ると簡潔でわかりやすい納得ゆく記述に行き着くことが出来る。特に政治・経済・社会に関して巷にあふれる情報を的確に理解するには、自分の信ずる何らかの道しるべと、基礎知識・基礎学力(知的体力)が欠かせない。本書は、やはりそういった体力を養う「勉強の技法」を伝授する指南書として光っている。

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